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文人悪食 (新潮文庫)

価格: ¥788
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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文人はみなすさまじいパーソナリティの持ち主だ ★★★★☆
もう、たくさんのレヴューが出てますので、何を付け加えればいいのやら。とにかく全てが面白い、一部の文人については著者の個人的な交流がベースとなっていますが、ほとんどの文人については、大量の二次的な資料の食という角度からの読み直しに基づいたエッセーです。
それにもかかわらず、またスペースも限られている中で、食という観点からのそれぞれの文人の本質とすさまじいパーソナリティを抉り取ろうとした作品です。
えらばれた37人の中に世間で言う食の常識人は数少ないようです。漱石で始まり、最後は三島で終わっているというのも見事な構成ですね。藤村、茂吉の食と作品の関わり方の解読は目を開かされました。三島と小林秀雄への微妙な距離の取り方も彼らの或る側面についての著者の評価を反映しているようです。
食の好みは必然的に社会的な背景を持つものですので、知らず知らずのうちに日本の近代文学や社会風俗の歴史についても理解が深まります。また食欲は人間の本質的な欲求ですので、そこにはその人間の生き様が好悪を含めてトータルに見事に現れるようです。
破天荒 ★★★★★
 1997年にマガジンハウスから出た単行本の文庫化。
 夏目漱石、森鴎外から始まり、池波正太郎、三島由紀夫に至る37人の文士の食の物語。
 膨大な資料をひっくり返し、文士と食にまつわるエピソードを掘り起こしていく。北原白秋の林檎を噛む音、林芙美子の飽食、斎藤茂吉とトマト。そこから見えてくるのは、小説・詩・随筆から見えてくるのとは、まったく違った作家像である。意地汚かったり、妙に執着してたり、鷹揚だったり。
 食というのは人間にとって大きな欲望だから、思わず人間性がさらけ出されてしまうのかも知れない。
 とにかく強烈で、恐ろしいまでの話が並んでいる。面白かった。
 ちょっと露悪趣味で嫌なところも。読者によっては、抱いている作家イメージがぶちこわされて怒る人もいるかも。
いただきますからはじまるドラマ ★★★★☆
どの文人の話もとても印象に残るものでした。
最近忙しくて、毎日食物摂取といった感じできちんとしたご飯を
食べていないな、と思っていたときに丁度読んで、これからは
食べたいと思えるものをきちんと毎日食べたいなと思いました。

悲しいときもうれしいときも悩んだときも人はごはんを食べて、
どんな場面にも必ず食べ物はあるわけで、食べ物は記憶を
呼び起こすアイテムで。

密な文章が気持ちの良い、じっくり読める本です。
食を通じた文人バイオグラフィー ★★★★★
誰もが知っている偉大な文人達の食とその人也にスポットライトを当てたこのエッセイ集...面白過ぎます。「人を魅了してやまない文章」とは、これほどまでに悪魔のような人間の脳味噌に宿り易いものなのかと、この本を読むと思い知らされます。作品のみ知っている人にとって、それがどんな人間から産み落とされたものか知って度肝を抜かれるのが本作の醍醐味なのかもしれません。刃物のような感性は日常生活では周りを傷つけてしまうのか、ろくでなしやら極道まがいやら、そして多くに共通する異常な自尊心を持つ登場人物達の非常識さには驚きを通り越して爆笑しかありません。

文人達の突出した個性を提示して、読者に謎をかけた後にスパッとその答えを切り込む形式がとても明快で気持ちいい。参考文献を見てもわかる通り、綿密な調査に加えて編集者としての体験、そして彼らの食に関して記した著作からの適確な引用が決定的に効いています。また全体には黒子に徹していながらも文人達への想いが綴れており、特に「小林秀雄」氏に対する皮肉が垣間見える部分などは、読者を自らの応援側にそれとなく引き込む技巧もあってなかなか痛快でした。
「食」を通してみた近代文学史 ★★★★★
面白いこと請け合い。作品の深奥にある文学者の食意識、料理、店との関わり、などなど、さまざまなエピソードとともに紹介されています。
初めから通読するのもよし、好きな作家だけ読むのもよし。一応、参考までに紹介されている文学者を羅列します。

1夏目漱石
2森鴎外
3幸田露伴
4正岡子規
5島崎藤村
6樋口一葉
7泉鏡花
8有島武郎
9与謝野晶子
10永井荷風
11斎藤茂吉
12種田山頭火
13志賀直哉
14高村光太郎
15北原白秋
16石川啄木
17谷崎潤一郎
18萩原朔太郎
19菊池寛
20岡本かの子
21内田百間
22芥川龍之介
23江戸川乱歩
24宮沢賢治
25川端康成
26梶井基次郎
27小林秀雄
28山本周五郎
29林芙美子
30堀辰雄
31坂口安吾
32中原中也
33太宰治
34檀一雄
35深沢七郎
36池波正太郎
37三島由紀夫

最高のエピソードを紹介します。

太宰治は、ある時、熱海に出かけた。東京の内妻に金がなくなったと連絡が入る。頼まれた檀一雄がお金を持って出掛けると、また豪遊。さらに金がなくなり、今度は檀が宿で「人質」となって、太宰が東京に金を工面しに帰る。3日くらいで戻るかと思ったが、10日経っても戻ってこない。仕方なく、監視役をともなって檀が帰京し、太宰を捜すと、のんきに井伏鱒二の家で将棋を指していた。檀曰く、「『走れメロス』はこのことを元にしたのではないか」。