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おろち 4 (ビッグコミックススペシャル 楳図パーフェクション! 4)

価格: ¥1,200
カテゴリ: コミック
ブランド: 小学館
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もっと続けてほしかった ★★★★★
「眼」はページ数も少なくやや存在感が薄いエピソードですが、最終話「血」は1巻の第1話「姉妹」同様、姉と妹の愛憎渦巻くあまりにも残酷な物語で、シリーズ屈指の名作です。ストーリー展開が凝ってて、まるで長編のような読み応えがあります。おろちに秘められた謎もほんの少しだけ明かされます。絵も、美しい洋館の内部や背景の不思議な模様など、最初から芸術的な絵が連続して見とれてしまいます。この時代に、しかも大量の連載を抱えながら、これほどの絵を描いていたというのは驚異的です。

たった4巻で終わりというのがあまりにも惜しまれる傑作シリーズです。先生はもっと続けて、おろちがロケットに乗る話が書きたかったらしいのですが、サンデーの編集長交代で、新編集長の方針で続けられなくなってしまったそうです。「神の左手悪魔の右手」の時の編集によるアシスタント引き抜きにしてもそうですが、雑誌側の理不尽な理由で名作が終わってしまうのは悲しいし腹立たしいです。
少女の見つめる人々の人生。 ★★★★★
どこからともなく風のように現れる少女“おろち”。彼女が見つめる人々の人生。
「秀才」親子3人で子供の誕生日を祝うところに強盗が現れ、子供が刺された。この子の人生をおろちは見つめる。
「眼」盲目の少女の家に賊が押し入ってそして・・・。
最終にして最も凄惨 ★★★★★
 楳図perfection版『おろち』は全四巻で、本書が最終巻にあたります。『眼』『血』の二編を収録し、最終巻に恥じないものとなっています。
 
 『眼』は自宅で行われた殺人に立ち会ってしまい、後日冤罪で捕まってしまった父親の疑いを晴らすため、真の殺人犯を見つけることに奮闘する盲目の少女の話。この世の中は本当の意味において、誰が盲人で、誰がそうでないのか。探偵もの、ミステリものを思わす、スリリングな物語です。
 『血』は第一話『姉妹』を受けてのものなのかは不明ですが、再び姉妹の話。名家に生まれた姉妹のうち姉はその慎ましい態度からあらゆる素行を讃えられるが、対して妹は常に比べられ、時には周囲のあまりに理不尽な行いに涙する。そのような境遇で育った彼女たちが成長して後には、いったいどのような物語が描かれるのか。女の心理を穿つ楳図先生の筆は、やはり姉妹という題材を扱うことにおいて最も冴え渡るのか。『おろち』全編の中で、最も壮絶、最も残酷な話です。

 『おろち』は最終巻になっても、一向にその物語は衰えを見せません。この頃から『わたしは真悟』のときまでが、楳図先生の才能が最も花開いた時期ではないでしょうか。漫画史に燦然と輝いていながらも長い間文庫でしか読めなかったこの漫画(しかも近年、絶版になったのか入手困難だった)を、すばらしいデザインと装丁で復刊してくれた小学館編集部には頭が下がる思いです。
 いまは『森の兄弟』などの初期短編が非常に豪華な版で復刊されたり(自分は学生の身なので手が出ませんが…)、映画化が相次ぐなど、楳図ファンにとってかなりありがたいご時世です。その煌くほどの功績に対してやや遅い見返りのようにも思えますが、ファンとして素直に喜ぶとします。いつの日か全集が出ることを夢見て、この良質なperfectionを収集していこうと思います。若いころ楳図作品に大なり小なり魅せられた方は、ぜひぜひ購入してください。