SP、イベントプランナーの職業倫理
★★★☆☆
イベント会社の現役プランナーが書いたイベント・セールスプロモーションのプランニングの本。
基本的には、彼が講師を務めるイベント学校のカリキュラムに準じて、7日間の講義という体裁をとって、本は構成されている。
一日目:調整力
二日目:疑問力
三日目:ゴールを設定する力
四日目:アイデアという力
五日目:議論する力
六日目:構築する力
七日目:プレゼンの力
というように。
最初読んだとき、おもしろい発想の仕方や上手な企画書の書き方の本として期待したため、思わず肩透かしを食らった。この本では基本的な最低限のことしか書かれていない。事例なども載せながら実務につながっていくようになってればいいんだが、と思いながら、正直がっかりして本を読み終えた。
だが、この本を読んだことで、仕事中ふいにこの本に書かれていることが頭に湧いてくるのだ。
例えば、”プランナーに一番大事なのはゴールを設定する力である”
往々にしてプランニングは小手先のテクニックに走って、本来の趣旨を見失いがちだ。こうはっきりと認識することはとても大事なことだと思う。
また例えば”プランナーは演出家ではない”
これも勘違いされやすい。演出だけに走って、そこだけはいいのだが肝心の企画が何を言いたいのかよく分からない、という例は多い。あくまでもプランナーは演出家をとりまとめ、一つの目的のためにそれらを活かして行くべき存在なのだ。
そう考えると、この本はプランナーの職業人としてのエトス(倫理)を説いた本といえるかもしれない。同業者として、このエトス、しごくまともだと思うし、自分も見失いがちになる、この本によって再確認できたことはとてもよかったと思う。
なかなかの良書だが、非常に狭い業界の狭い範囲を対象とした本のため、万人にはすすめられない。★3点としておこう。