真理と直観
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『論研』第二巻の最終巻。ここには第六研究「認識の現象学的解明の諸要素」が収められている。この研究は最も大部のもので、第一篇では充実による総合としての認識が論じられ、フッサールの真理論が述べられる。第二篇の「感性と悟性」では<直観>の範囲が拡大され、感性的直観だけでなく、範疇的直観と本質直観について述べられ、フッサールによる感性と悟性の問題の解決が試みられる。この部分はこの本において最も重要な部分であって、のちの研究の進展においてここで展開された直観の概念が果たす役割は大きい。
ハイデガーが最も重視したのも範疇的直観についての議論であり、これはマリオンの贈与論にもつながる問題となった。またレヴィナスもその研究をフッサールの直観概念から始めた。