サウンドスケープの導入としては、面白い本
★★★★☆
筆者のこれまでの音のフィールドワークを、コンパクトにまとめた印象が強い。現場で得たリアルな調査結果を実践的にまとめており、深い内容を完結(簡潔)に表現した文章である。現在のサウンドスケープ研究を「机上の空論」と切り捨てる真摯さが、刺激的に映る。だが、各章の内容を端的にまとめすぎているので、詳しい内容を得たい人にとっては少々物足りなさを感じるだろう。そうした人は、筆者の論文や参考文献を元に、読者がサウンドスケープの理解を自発的に深める必要がある。基本は「現場」にあるという精神は、他のフィールドワークや音の分野に大いに参考になるだろう。自分も何かやってみたい!と思わせる本である。