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日本の課長の能力 (日経プレミアシリーズ)

価格: ¥893
カテゴリ: 新書
ブランド: 日本経済新聞出版社
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人事、階層別研修担当者にお勧めの1冊 ★★★★★
 会社の階層別研修を担当している関係で興味深く読ませていただきました。
 ヒューマンアセスメントでは日本最大手MSCの創設に携われた筆者の、総まとめともいうべき内容になっています。
 興味を引いた点は、次の3点でした。
 まず1点目は、日米の管理職のディメンション比較が具体的に掲載されており、参考になる点です。従来から定性的な比較はありますが、評価点での比較を目にしたのは本書が初めてで、貴重な資料と言えるでしょう。
 2点目は、上司アセッサーの参加意義が生の声として載っている点です。上司側のメリットが具体的になれば、協力依頼もやりやすいというものです。
 3点目は、評価に使われる言葉のランキングです。「能動的」「先見性」「熟慮」などのキーワードが出現するランク(AAからCまで)が載っており、フィードバックの作成や理解に大いに役立つ点です。
 その他にも、「背景面接」「分析方法」「AI分析」などが、筆者ならではの経験と洞察力に基づいて、書かれています。
 文章も、理路整然としており、歯切れの良さと相まって、大変理解しやすい内容となっています。
読みどころが多い(人材アセスメントの本である) ★★★★★
 ブレイ博士、ハワード博士は、ビジネスマンのキャリアスタイルを5種類に分けているという。
 A)昇進し、人生でも幸福、B)昇進したが人生では不幸、C)昇進はしないが幸福、D)昇進もせず幸福でもない、E)昇進も幸福もほどほどの平和なグループ

 このようにビジネスマンの傾向は多種多様であるわけだが、企業側から見れば、現実に社員を採用し、幹部候補を選抜し育成する必要があるわけで、役に立つ社員の選任や抜擢を行う際に、基準や目安として指標たり得る要素とは何か、能力開発の重要な要素とは何かを理解するのに本書は役に立つであろう。 
 
 上級管理職以上に昇進した人に見られる特徴は、
「管理能力、リーダシップ、対人能力が高く、勤務態度が安定。不確実な状況でもストレス耐性が強い。仕事に対する意欲も満足感もあり、昇進意欲も強かった。
 職務遂行基準は高いし、仕事を優先する態度も着実である。
 自立心があり、上司への依存心がないことも目立った。彼らは、仕事に強い関心を持ち、目標達成に意欲を示し、社会の動きにも敏感であった。
 関心の幅は広く、自己啓発の目的は、知的能力の向上と心身の健康維持であった」
 とある。周囲を見て、それなりに納得できる内容ではないだろうか?

 また、最も高い評価を得た人に使われる形容詞は、
「洗練、能動的、臨機応変、複眼的、大局観」である(一方、最低ランクの場合は、「大雑把、違和感、律儀」である)とのことだが、これも感覚的にぴんと来る。

 ベテラン女性に関する記述も、妙に納得できる内容となっている。
 経験に基づく仕事の処理に自信→自分のやり方をその仕事の遂行基準と決めつける→それを後輩や部下に押しつける→部下は、新しい工夫をする気持ちや、改善を生み出す「元気」を失うという弊害が発生。
 これは、ベテラン女性が、自分の主張する基準がなぜ有効かを相手に説明することが苦手であると分析していて、対応策としては、後輩や部下に教えた上で実行権限を渡すという解決を提案しているが、全く賛成である。

 あと、読後の印象で言えば、「世界で一番やる気がないのは日本人」と同じように、結果的に、日本の課長・マネージャー(管理職)の資質・仕事の仕方の国際比較となっていて、一種の比較文化論的要素も持っていると言える。
 例えば、日本人の「計画組織力」が相対的に評価が低いことに意外感がある。 
 その理由はと見ると、計画組織力の評価が「計画組織力は目標達成のための自他の行動案を作る。関係者に資源の適切配分をする。
 そして、目標達成に必要な行動を明確にし、優先順位の決定、資材や器具の確保、担当者の役割や場所の決定、所要時間やその他のスケジュールを調整する」
 という国際的な指標で行われているからである。 
 日本では実行段階では、課長が一人で計画を作るというより関係者と意見交換を行って段取りを決めるというスタイルが多く、このため計画組織力不足と評価されてしまうわけだ。

 また、「リーダーシップ」についても、「言語で明確に表現されたもので判断する」との基準に対して非言語表現(空気?)まで考慮するのが日本。
 評価は、「発言内容が相手の行動に影響を与え、集団が抱える問題が解決されたり、行き詰まりが解消され、創造的な対応策が作られる」といった行動の有無で判断されるべきと国際的にはされているそうだ。

 最後に、実は重要なメッセージだと思うのだが、仕事の成功は人生の他の部分を犠牲にして初めて達成するとの主張を裏付けるデータはないそうである。
 人生を何ら犠牲にすることなく、仕事のキャリアも達成したいものである。