まさに、総合芸術。
★★★★☆
この種の本にありがちな、世界的に有名な建造物を通じて建築様式や建築の変遷を紹介するというよりは、材料や構造といった建築物を支える裏方や細部に着目している点が興味深く、大げさに言えば、本書を見ながら、自分でも家が一軒建てられそうな気分にもなりました。木材、土、漆喰、レンガ、石材、屋根、柱、アーチ、塔、階段、煙突、タイル、扉、窓、バルコニーなどが独立した項目で扱われているので、海外で民家を見る機会があったら、かなり重宝するのではないでしょうか。とにかく、本書で対象となる視点や切り口が、ユニークで面白く、派手さがない分、堅実で、「作る」という楽しさを教えてくれる内容に好感を持ちました。