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総会屋錦城 (新潮文庫)

価格: ¥662
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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閉塞感を打破する活力経済小説 ★★★☆☆
本書は、経済小説というカテゴリを作ったと言われる城山三郎氏が直木賞を受賞した作品。

良くも悪くも、日本経済が爆発的に拡大していた時代。
戦後間もなくからの経済成長の勢いを感じさせる時代背景の中で、
それらを動かす人々、そして翻弄される人々を描いた短編集。

まずはタイトルにもなっている「総会屋錦城」。
今では情報公開も進み、株の持ち合いなども減少していますが、今は懐かしい「総会屋」として、総会を取り仕切る錦城。
もちろん、暴力団まがいの動きも見え隠れしますが、本書はあくまでも政治的に、合法的に物事を進めていく男の生き様を見せつけられる。

「輸出」では、日本の商品が海外に進出する礎を築いていった商社マンの海外駐在の悲哀を描いた作品。
最近は商社入社の若者も海外に行きたがらない人が増えているようですが、昔の商社マンも、家族や人間性を犠牲にしながら、
会社に尽くしていたことが垣間見える作品です。

「メイド・イン・ジャパン」。さらに日本の商品の低価格かつ高品質での輸出が広まる中、海外からの圧力が高まります。
そうした中で、政界への働き掛けや、業界団体としての規制問題などを乗り越えながら、メイドインジャパンを広げようと立ち上がる男の作品。

「浮上」。こちらも最近では想像出来ないですが、戦時中に沈没した船などをサルベージ(引き揚げ)し、そのスクラップを売ってビジネスにする。
戦後間もなくというのを強く意識させられる作品や、「社長室」では、社長となるための政治的な画策を描いた作品など。

いずれも、古き良き、日本の経済成長の中でのダイナミックかつエネルギッシュな企業活動、企業内での動きを読みとることが出来ます。
閉塞感のある今の日本において、あえて、こうした作品を読んで、活力を見出したいところです。
昭和30年当時に思いを馳せる作品群 ★★★★☆
本書は、短編小説7編から構成された一冊である。

表題作となった『総会屋錦城』は、第40回(1959年)直木賞受賞作品。総会屋の老練なボス錦城の姿を描き、株主総会で暗躍する者たちのからくりを明らかにする。「総会屋」という当時あまり知られていなかった存在を、一般人に認知させる契機となった作品として名高い。

また『輸出』は、商社の第一線で働く人たちの、悲惨な生活を描いた作品であり、文学新人賞(1958年)受賞。これを機に、城山三郎の名前が文壇の世界に登場する作品として名高い。

他にも、『メイド・イン・ジャパン』『浮上』『社長室』『事故専務』『プロペラ機・着陸待て』などの作品群を収める。

各々の小説は、現在では陳腐化した感も否めない。しかし、昭和30年当時の状況を伺い知ることができる本書は、現在でもなお有意義であるといえるだろう。
哀悼レビュー 人生を精一杯生きる男の物語 ★★★★★
20代後半に城山さんの「真昼のワンマンオフィス」を読んで以来、いつか読みたいと思っていた本書ですが、城山さんが亡くなってから読むことになるとは思いませんでした。

私が生まれる10数年も前、昭和32年から36年に書かれた7つの短編小説から構成されています。
各主人公達は、決して生き方が上手くなく、無骨に、自分が信じた道を歩み、ある者は死に、ある者はチャレンジを続け、ある者は閉鎖的な日常をなんとか生き延びるといった物語が紡がれており、哀愁や悲哀が漂うその生き様に共感と悲しみと虚しさを覚えました。

人生とは決して楽なものではないということを、改めて思い知らされた気がします。
彼ら主人公の生き様には、海軍の特攻隊として終戦を迎えた、城山さんの人生観、無常観が、色濃く反映されていると感じました。

個々の物語の感想は差し控えますが、20代の方には、本書や、「落日燃ゆ」、「雄気堂々」をぜひ読んで頂きたいと思います。
その辺のビジネス書、経済書、自己啓発書よりは数十倍、数百倍、人生の糧になると思います。
このクニの行方 ★★★★★
古い。あまりにも古過ぎる。
しかしそこには時代の流れに去勢されることを拒み続ける漢(おとこ)の姿がある。

『MADE IN JAPAN』がかつて『粗悪品』の代名詞であったことを覚えている人がどのくらいいるだろうか?
今ある繁栄の礎を築いた者がいるのだ。しかし、半世紀も経たぬうちに日本人は『一億総穀潰しのボンボン息子』に成り下がってはいないだろうか?

男尊女卑的なものが見えるが…、まァ、良しとしましょう(笑)。
短編であることが悔やまれる ★★★★☆
城山三郎はヒトの魅力を最大限に光らせる天才だと思った。この本は短編集なのだが、どのストーリーをとっても主人公やその周りの人達に惹かれ、感情移入してしまう。きっと、城山三郎は自分の世界を造れる人なのだろう。