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権力 (社会科学の理論とモデル)

価格: ¥3,360
カテゴリ: 単行本
ブランド: 東京大学出版会
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権力論に興味がある人必読 ★★★★☆
現代思想家が書いた本をでたらめに読んでいると、
権力という言葉がきちんと定義されないまま、あれも権力、
これも権力、それも権力ということにされて、どんどん
頭が混乱していくことになる。
しかも客観的分析というよりは、その「権力」を疑え、
相対化し、弾劾せよという文脈で語られることが多く、
読んでいる側は煽られ続けることになり、段々と疲れてもくる。
専門家ではない、一般的な読者は、「権力」(という言葉)の
濫用の被害者的立場にいつの間にか立たされているとすら言えそうだ。

この本では、思想家たちのあいまいな言葉が、明快な論理に
より、整理されている。
整理されてみると、思想家たちの思わせぶりな語りの内容が、
実は大したことではなかったことが副次的に明らかになる。
あれも権力、これも権力、あれを疑え、これも疑えという扇動に
いい加減疲れてきた人にこの本をお薦めしたい。
権力論の俯瞰図 ★★★★★
既存の権力論の混乱を、分析的にその原因を解きほぐし、そして鋭く批判していく。
これまでの権力論に胡散臭さともやもや感を抱いていた人が読んだら、まさに目から鱗だろう。
そのぐらい、本書の分析は明快かつ鋭い。

権力論の混乱は、端的に言うならば異なる問題を同一の「権力」という語でくくって論じていたため、違う内容のものがいつの間にか滑り込んだり、必要な要素がこぼれおちたりして、適切に論じられないことに原因がある。
例えば、個人間の力関係における権力と、制度的に規定された権力とは異なるが、これはごちゃごちゃにされやすい。
また、脅しによる権力行使と誘いによる権力行使、権力行使の内容が強制か抑止か、というのも大きな差異がある。

ポストモダン的な権力論の問題点としては、「これらの議論は、社会的世界そのものが観念図式によって構築されその内部にある、という事実の決定的な重要性にまったく気づいていない、ということである。彼らは一様に、観念図式からは独立した「リアリティ」が在ると想定している」(p168)という点を挙げる。
また、こうした観念的権力を、簡単に政治権力へと横滑りさせたり、単純な抑圧構図にしてしまうところも批判する。

そうして権力論がすべきこととして筆者が提起するのは、「権力とは何か」や「権力の原因はどこか」ではなく、純粋に行為者に与える影響の仕組みの解明である。


権力という語は、ともすると(そして多くは意図的にそうなのだが)悪へと直結するマジックワードとなってしまい、混乱を招くだけの議論となる。
つまり、「こいつこそ権力だ=こいつは悪だ」と告発するだけのいわば罵りあいの地平にまで落ちてしまうわけだ。
そうした中で、本書は権力を論ずる上での冷静な視座と、既存理論の持つ問題点を明快に描いてくれている。
すべての権力論者をまきこむ権力論 ★★★★★
これまでの権力論のうち、代表的なものをコンパクトに解説し、その利点と誤解とを適確に指摘し、そして自己の全く新しい「正しい」権力論を展開していくという、きわめて野心的な書物である。著者の物言いは手厳しい。これまでの権力論の語り手たちは、「権力」という言葉がさす対象をどのように社会的に位置づけるかに情熱を傾け、結局のところリアルに存在している政治権力を軽視してきたのである、と。すなわち「「権力」という語は権力論者たちに絶大な権力作用を及ぼし」てきたのである、と。痛烈な皮肉である。
ひとこと注釈を付け加えておけば、本書の議論をしっかりと理解するには、同じ著者による『制度論の構図』というこれまた優れた理論書を読まないといけないだろう(特に後半部)。こちらの作品で提唱され詳しく論証された「理念的実在としての制度」という視点があればこそ、本書の革新的な権力論に到達しえたのだから。
フーコーから宮台真司までメッタ切り ★★★★★
これは、フーコーやブルデューから宮台真司氏の「権力の予期理論」に至るまでの、過去の権力論を系統的に分類・整理した本なのですが、単なる教科書的な紹介にとどまらず、著者独自の視点からの、かなりつっこんだ批判がなされています。

その記述は、数理的な手法を援用した、論理的に極めて明快なもので、一部の思想書のように概念を弄ぶようなところは一切ありません。
(むしろ、これを読むと、今までの権力論がいかに論理的に不徹底だったかがよくわかる。)

もちろん、単に他人の理論にケチをつけてるだけではなく、著者独自の権力論の試案もキチンと提示されています。

他にも、「物理的な力は、人に何かをさせることはできないが、させないことはできる」とか「組織の権力と組織における権力!は違う」とか、当たり前のようで見過ごされやすい指摘がたくさんなされていて、非常に勉強になりました。

そういうわけで、権力論についてある程度知っている人にとって得るものは多いし、権力論を始めて学ぼうとする人も、まず、この本から読んでおけば、はっきりした見取り図が得られ、余計な回り道をしなくてすむでしょう。そういう意味で、多くの人に勧められる良書です。

既存の権力論についてのガイドブック ★★★★☆
筆者によれば,論者によって様様な「権力」概念が乱立してきた背景として,1それぞれの概念に対応するような社会的現実を実際に存在すること,2何が「権力」の「正しい理解」であるのかを判定する根拠・手続が存在しないこと,という理由による

また「権力」概念乱立の,もう一つの背景として,3権力を,それ自体について説明を要しない「説明項」と考えるべきか,あるいは,それ自体について説明を要する「被説明項」と考えるべきか,の対立があることを筆者は示す.
その上で結論として,権力を探究課題(被説明項)と捉えるべきであると筆者は言う.重要なのは,行為者のありようを決める社会的な「しくみ」を明らかにすることであって,明らかになった「しくみ」を唯一の定義と主張する傾