いわゆる条文の逐条解説
★★★☆☆
行政法の有名どころが執筆されたものです。
現役、法科大学院生の一人として本書を一読した感想ですが
内容は、行政事件訴訟法をはじめ
各条文で問題となった「判例」と「条文の解説」から成る
いわゆる逐条解説のような構成。
じゃぁ、択一六法のようなものか?といえば
そういう本では、無い。
択一六法のような最低限の行政法のイロハ(定義、入門事項等)については、
全くすっ飛ばして書いている。
利用方法いかんによれば、択一の勉強になるかも知れませんが、
択一六法だと思って購入しては、外れるかな・・・。
たとえて言うなら、民法のコンメンタール。
私見ですが、このタイプの本は
本当に必要になった時に、買い足せば良いいくらい。
図書館での閲読で足りたな、と思いました。
“コンメンタール”だけど“入門書”
★★★☆☆
本書の性格は、「コンメンタール形式の入門書」。
条文と判例の要旨を中心に、かなり基本的なところから
解説がなされています。入門書として、初学者が通読するか、
体系書を使った通常の学習に並行して使用すれば有益でしょう。
条文や判例が重視される最近の行政法学習からいえば、
時代の要請にあった着眼点の本といえるのかもしれません。
ただ、うがった見方をすれば、成功しているかは微妙です。
コンパクトなテキストを読みながら、六法と判例集を
こまめに引くという、王道的な学習スタイルをとっていれば、
あえて本書も利用する利点は少ないかもしれません。
分量は正味370頁くらいで、コンセプトはあくまで入門書なので、
知識を補充する参考書としては物足りないと言わざるをえません。
入門という枠はよくないかもしれない。
もっと本格的な一冊型コンメンタール(600頁くらい)を
作った方がいいのではないでしょうか。大変だとは思いますが。