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ODAの現場で考えたこと―日本外交の現在と未来 (NHKブックス)

価格: ¥1,155
カテゴリ: 単行本
ブランド: 日本放送出版協会
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ODA現場の見方の一つ ★★★★☆
辛辣な言い方をすると、先進国目線で書かれた訪問記といったところです。
ただし、日本では報道されていない事が記されているということは評価されます。
そもそもODAの現場は、普段の我々に馴染みの無いものですから。
本書において採り上げられているインドネシア、コトパンジャン・ダムに関する訴訟は、
ODAの現場や報道体制を考える上での好材料の一つです。
そして、著者の目で見たそれが、どのようなものであったかは興味深い。

援助した高額な設備・機器が何のメンテナンスも行われず途上国に放置されている問題は、
ずいぶん前から指摘されています。プロジェクトの事前調査不足くらいにしか書かれていませんが、
顔が見える技術協力という理念の下、「顔」を見せようとするばかり設備援助を安易に進めてしまう側の
問題は否定できないはずです。
このような負の側面に関しては、他書を当たることをお勧めします。
事実は現場にあり ★★★★★
著者は本書で13カ国の訪問について書かれている。終章で著者は「物見遊山の途上国での私的な見聞録」と謙遜されているが、これだけの国と案件を見て回られる(それもほとんど自費で)ことは、並大抵の事では無い。取り上げられた案件分野も多岐に亘っており、日本のODAの実績、実態を知るには非常に有効と思われる。また、著者の一流の感性と鋭い視点で国や案件の比較がなされている。これは即ち「同じメジャー」で国や分野を越えた案件比較を行っていると言う事である。そうしたアプローチは過去に無かったのではなかろうか。 そう言う意味で本書は類似本の少ない内容と思われる。 文章も平易で読み易く、著者の目が身近に感じられる。 現場の様子が臨場感をもって描かれており、ODAに余り馴染みが無い読者にもスッと入ってくるのではないだろうか。 事業仕分けでも多数の指摘があったが、ODA事業はとかく批判されやすく、間違いや失敗が許されない厳しさがある。 しかし途上国と言う何をするにも困難を伴う環境下で、外交・政治・行政・国益を背負って行われている事も事実である。 著者はそう言う事を分かった上で、個別案件の善し悪しを考えるべきではないかと指摘されている。
現場で活動するJICA職員、協力隊員、NGO、企業人が、悩みながら時には試行錯誤を繰り返し真摯に取り組まれている様子には胸を打たれる。 ODAって何だろう?を今一度良く考えるには、大変有効な本であることは
間違いないと思われる。 願わくば、著者には「ODAと自衛隊活動」に関するお考えを別の機会に詳しくご教示
頂きたい。
日本外交に関する『入門書』を読む前に読んでおきたい本 ★★★★★
 わが国の歴代政府は特に湾岸戦争以降,「自衛隊や警察の海外協力の実績」を少しでも増やす方向で四苦八苦しています。国民がやりたくないことをなんだかんだと理由をつけて推し進めようとするのですから政治的にスマートに合意を得られないのは当たり前です。一方で,政府はODAに関しては,「外国人の面倒を見ている場合か」といった国民感情に敏感に反応する形で予算を減らし続けています。その結果,わが国は「自衛隊や警察の海外協力の実績」もODAの実績も大したことがない,ということになっております。これでいいのか? と普通は思いますよね。本書を読んで,本書の副題でもある「日本外交の現在と未来」について,いろいろなことを感じ,かつ考えさせられました。
 本書では草野先生が2007年の『日本はなぜ地球の裏側まで援助するのか』で学問的に取り扱われた,わが国のODAを中心とした対外援助に関することが,一般人にも理解しやすいよう紀行文のような文章と写真で具体的にわかりやすく語られています。「日本外交の現在と未来」について,まず「いろいろなことを感じる」という点で,本書は「日本外交に関する『入門書』を読む前に読んでおきたい本」といえます。「頭の固まっていない」中学生以降の人におススメです。
 なお,外交とは直接結びつきませんが,長年アフリカ等でネリカ米の普及に取り組んでおられる方の「100年後にアフリカの農家で、『今、稲作をやってお米を食べられるようになったのは、曾祖父が日本人に稲作を教えてもらったお陰だよ』と言ってもらえるようになるのが夢」というコメント(115ページ)には,一ビジネスマンとして,かなり感激いたしました。
「現場の匂い・刺激」の大切さを再認識 ★★★★★
  
一気に読みました。

「政策や案件の是非を問うのに、現場の匂いや、人々を知らないというのは失礼な気がする」
「間違いなく現場は何らかの刺激を与えてくえる。短期であれ、行ってみないことには、この刺激を味わうことはできない」

この言葉に集約されているとおり、私が草野氏の本を好んで読むのは、国際協力関連の問題は(多くの書籍も)、往々にして現場から遠いところで議論されているといった印象があるのに対し、地に足の着いた意見を提示してくれるから。現場は大事です、現場は。そこを外して生まれるどんな政策も、現実社会を良くする力は持たない。それを再認識させてくれた。

間接的であれ、現場で活躍するODA関係者の姿を知ることができたのは収穫。メディアでODAが取り上げられるときは、決まってネガティブなものばかり。それすら実際現場に行ってみると、違った側面が見えてくることも理解できた。双方向からのリテラシー重要。

日本外交の基盤とは、そしてそれを支える現場とは。。 ★★★★★
ODAを専門とする著者のODA事業実施現場の見聞録。と言っても、よくある単純なフィールドレポートではなく、現場の取り組みを観て「日本外交の基盤としてのODA」を浮かび上がらせるという芯が通った良著。

この「日本外交の基盤としてのODA」とは、分かりやすい例を挙げれば、ODAによって途上国を支援してきたことによって日本に好印象をもつ人材が各国に育成されてきたといったことを指す。こうした人々がその国を支えるようになり、やがては日本に共感し、例えば国際交渉において共に動いてくれる国を増やすことにも繋がっているということになる。

こうした視点は、ODAは単なる善意(もちろんそれも大きな要素だが)によるバラマキではないという意味をもつのではないだろうか。
つまり、ODAについてよく言われる「無駄使い」や「現地のためになっていない」という批判や、「途上国より国内を」という主張への1つの説得力ある反論ではないかと思う。
また、この視点からODAを観る時には、表面に見えるものだけではなく、日本の印象向上等見えない部分にも目を向け、さらにそれらを長期的視点で見なければならないということになるだろう。

またメディアや報道分析を手がける著者らしく、ODA関連の報道について扱っている。
メディアが批判的に取り上げる傾向が、実際と報道内容のギャップにどう現れるのか、実例をもって詳しく紹介されており、興味深い。
結局は「どうなっているか」より「どう報道されているか」に左右される現実と、それゆえのフィールドワークの大切さがよくわかる。

本書の背景には、現場で働く多くの援助関係者の努力がある。
著者自身が言うように、「(そうした援助関係者を)いささか褒めすぎ」で、中立性に欠ける感もあるかもしれない。

しかし、現場に思いをはせて自身の目で観て、単なる政策論議で済ませないという著者の姿勢は、現在の政権与党の方々の政策決定の際にも見習って欲しい姿勢ではないだろうか。フィールドワークの大切さ、フィールドワーク時の視点の持ち方等、フィールドワークの取り組み方の参考書としても有意義な内容である。