受験生募集の?
★★★☆☆
理系離れが進んでいるので、受験生確保のために高校生向けに書かれた本のようである。平易な文章で一般人にも読みやすい。
しかし、「ものを基準としない経済」や「敗者を作らない」など、社会科学の面から見るとかなりいい加減な事が書かれている。これでは、社会学や経済学への偏見を作ることにつながりかねない。
趣旨としては悪くないのだが、余計なことを書いて混乱させるので大幅に減点した。
アヤシげな大学教授の本
★★☆☆☆
前著「自然に学ぶ粋なテクノロジー」と重複する話題が多いが、この本はQ&A形式でより情報量を薄くし、幅広い年齢層向けの内容である。
気になったのは、まず彼が工学博士号をもつ研究者兼大学教授でもあるにも関わらず、科学的に疑問のある話題をいくつも持ち出している点だ。
例えば、「シマウマは体の白黒模様で対流が起こり、体温を保つ」というのは、わずかに対流は起こるのかもしれないが、体温までこれで保てるのか疑問。ましてや白黒の壁を作ることで生活空間の温度を一定に保つことなど現実的とは思えない。白黒ストライプによる体温調節説は、既に否定的な見解の論文も挙げられている(Roxton, 2002)。
科学者としてこのような話題を紹介するのはいかがなものか。他にもカーボンフットプリントを用いたやや乱暴な考察も行っており、環境問題の本質を見誤らせる危険性がある。
自然に学ぶ姿勢を著者は「ネイチャーテクノロジー」と呼んでいるが、そもそも科学というのは自然から秩序を学び、そのメカニズム・法則性を記述していくものであり、何ら新しいことを言っているわけではない。
科学技術は今も昔も生き物や自然の力を借りることを前提にして利用されている。例えば我々は微生物のタンパク質生産メカニズムを明らかにすることでインターフェロンを作らせているし、植物や動物の生理機能を知ることでいつでもおいしい肉や野菜を食べることができている。
これも著者の言葉を借りれば「自然のすごさを人間の知恵でリ・デザインし直す」ことだと私は思うが、著者はこのような重要なイノベーションは取り上げず、人目を引きやすいシマウマの体色とかカタツムリの構造とかいわゆる「キワモノ」を取り上げて重要だという。
環境問題の本質は、地球に存在するあらゆるエネルギーやマテリアルの供給量や循環時間を考えながら生きていく必要があるということである。著者の紹介するキワモノ的なネタはこの本質から明らかにずれている。
自然の知恵をエコに
★★★★★
前半は「カツツムリの殻から汚れないタイルを作る」「トンボの羽で電気を起こす」等
環境に負荷の少ない驚きのネーチャー・テクノロジー(生物模倣技術)をその思想とともに紹介。
後半はいわゆる環境問題を扱っていますが「地球温暖化問題」を声だかに主張するわけではなく
将来的には必ず来るであろう「資源・エネルギーの枯渇」の観点から環境技術を考えます。
科学技術・環境問題についての押しつけがましさは全くなく不思議なほど心穏やかになる良著です。
想像力が広がります!
★★★★★
環境、エコ関連の本を読むと、「これダメ」「あれもダメ」と言われているようで淋しい気持ちになるのですが、この本はわくわくさせてくれる一冊です!エコに関心がない人にもおススメ。とっても楽しく読めます。水がいらないお風呂、ぜひ入ってみたい!我慢のエコ生活ではなく、こんな素敵で想像力豊かなエコ生活が広がっていくといいですね。
Q&Aが読みやすい
★★★★★
先ず松本零士さんが表紙を描いているのにびっくりしました。環境問題に関する素朴な疑問や、聞いたことのなかったけど、タイトル通り地球/自然から学ぶ「ネイチャー・テクノロジー」について等、とても分かりやすく書いていました。Q&A式になっているので、自分が興味がある質問だけも読めるし、全体を通して読んでも、すんなり入ってきました。最後の「八景島コミューン」は、想像したことのない世界でおもしろく、これからのライフスタイルについて考えさせられました。