良かった。
★★★★★
日活十八番のムードアクション&メロドラマ
横浜港の労働者を牛耳る野上組に謎の脅迫電話が来るが、思い当たる節は解決したはず。
二日前に同じ横浜港の商売仇である、岡部組の労働者の暴動で倒産寸前までいっていた。
そこに、謎の男が野上組事務所に独りで進入してきた・・・
幼初期に上海で豊かな家庭ながら、孤児となり、神戸で貝塚組のヤクザとして生きていたじゅんと、長崎から貧しいながらもオルガンの弾き手として生活しているみち子の出会いにより組を抜けて堅気に生きようとする愛の逃避行を回想する。
物語の展開が主人公(西脇順三)による回想で進んでいくために、途中で恋愛映画をみているのかヤクザ映画をみているのかわからなくなる気持ちになるが、詰め込みすぎたという感じはなく、しっかりと全体のバランスはとれているし、また、それがサスペンス効果をもたしているのが抜群である。
設定が細部までしっかりと補強されており、無駄なシーンや台詞は一切なく、映画の素晴らしさをしっかりと凝縮されている。
一場面、一場面にちゃんとした物語があるため。見ていても混乱するところがあるかもしれないが、最後まで見たときにそんなことは大事であるけれども大事ではないことに気がつく。
普段は気にもとめない物語(人生)なのだから。
原作は菊田一夫で、独りで悪に立ち向かう精神と自己の存在意義など文学的にいくらでも掘り下げられる主題を持っているために、いつ見ても色褪せることのない名作となっています。
ヒロイン(榊田みち子)を演じる浅丘ユリ子と石原裕次郎の息もぴったりで、いつ見ても憧れてしまう演技である。
ヤクザ映画として堅気とは。と、独りでみてもいいし、
出会い、新婚生活など、恋人や家族でみてもいいし、
人とはなんだろうと、真剣にみててもいい映画です。