砂の妖精サミアドは、魔法を使える生き物。ただし、子供の願いしかきけないし、その魔法は日が沈むと同時に消えてしまう。サミアドに出会った4人の子供たちは、望みを色々と願う。
羨ましく聞こえるでしょ?けど違うのです。
第一彼(?)は、子供たちに見つかり、永い眠りを妨げられたことに対し、ご立腹な様子。子供の願いを叶える妖精のわりに子供嫌い、のようです。だから、お願いするのも大変。1日1つの魔法、ってことでしぶしぶ引き受けてもらったって感じです。
なだめたりおだてたりして、やっと願いを叶えてもらうのです。結構大変です。なのに、願いの結果はいつも×××。「きれいな顔になりたい!」てお願いの時は、女中に・・・・されちゃうし、「お金が欲しい」ていったら・・・・になっちゃうし。毎回、日が沈み魔法が消えるのを心待ちにする4人です。どの魔法の回も、ピリッと、ピクルス味なのです。
この善いとも悪いともいえないサミアド、無愛想なんだけど妙に好きになりました。4人も同じみたいで、懲りもせずにサミアドにお願いに行きます。
うーん、せめてこの本の続編だけでも日本語訳でないかな。
このお話が書かれたのが1902年、100年も前の物語なのに子供たちの願いが今の私たちの望みとそれほど変わらないのが面白いです。せっかく願いを叶えてもらえるという素敵な機会に巡り合わせながらも、考えなしに願いを叶えてもらってその度にエライ目に遭う子供たちが何とも言えません。
兄弟姉妹がもうちょっと個性的に描かれると良かったのですが、シリルとロバートの漫才のような会話や、いざとなれば兄シリルよりも度胸をみせるアンシア、そして子供たちへの言葉はキツイけれどちょっぴりロマンスの見せ場がある女中などがコミカルたっぷりに描かれています。お世辞を言うと気を良くするサミアドもなかなか。ちょっとぎょっとしてしまうお姿ですが。