そんな苦境の中 父親の失った財産を取り戻そうとしながら愉快に毎日を乗り越えていく子どもたち。
兄弟の一人が(それが誰かは読んでからのお楽しみ)語る形だから、読者がすんなりはいりこめ、
次々飛び出すアイデアに「あら あらそんなことしちゃって大丈夫なのかしら」 とおもいながらぐんぐん読み進められる。
砂の妖精などにみられるファンタジー要素は無く、質実で堅実なおはなしになっているが、
大人はあくまでも傍観者であり、子ども主体の視線で書かれているため飽きることなく読むことができる。
素敵なのは大人達が傍観者であっても、しっかり子どもたちを守っていることだ。 主人公が守られているという安心感は、子ども達といっしょに宝探しに参加しているわれわれ読者にも心地よい。
子ども達はいたずらもするし、とんでもない行動に出たりもする。大人達に諭されたり、時には叱責されたりもする。
堅実ではあるが決して真面目でカチカチに凝り固まった物語ではないので、一緒に考えて、くすくす笑って、どきどきして、ちょっと不安になって、そして思い切り楽しんでほしい。