何と2枚組で69年のPEPPER RECORDSからのデビュー・シングル、MAD DOGSツアーからのライブ、前夫クリス・クリストファーソンやグレン・キャンベル、ルパート・ホルムズとのデュエット、オクトパシーやスプラッシュのサントラ、WALELAの3名での共作Cherokeeに至るまでクロノジカルに彼女の米国でのキャリアをほぼカバーしており、リマスターにより音質も秀逸である。 もちろん代表曲も網羅していると言いたいところだが、どうも日本と米国では事情が違うようで、収録曲を見て違和感があるのは私だけではないと思う。 個人的には81年頃に来日を記念して発売されたベストALL ABOUT RITA COOLIDGEは全曲収録して欲しかったのだが、本CDから①Don’t Cry Out Loud、②Southern Lady、③Desperados Waiting For The Train、④Mama Lou、⑤Whisky Whisky、⑥Crazy Love、⑦My Crewの7曲が漏れている。 ①はいかにも日本独自の人気曲であるが、米国でも知名度が高い⑦が外されたのは驚きである。
しかし、彼女の30年以上のキャリアを考えると日米間のギャップは仕方ないことであり、02年のソルト・レイク・オリンピックの開会セレモニーで元THE BANDのロビー・ロバートソンとの共演を見て、このチェロキー族の血を引くデルタ・レディーはカントリーでもなく、AORでもなく、ましてやジャズやR&Bでもなく、自らのルーツであるネイティヴ・アメリカン・ミュージックに回帰したのだと実感した。 そういう意味では本CDは彼女の歴史と魅力を封じ込めた現時点での決定版と言えるだろう。 オススメの1枚。