次作を聴きたかった。
★★★★★
現代ジャズシーンを牽引する、Sweden産のピアノトリオの最終作。
Viaticum ‾ Tuesday Wonderland の流れを汲む作品ではあるが、
別のベクトルに向かって作られた過渡期の作品のように思える。
歪みとディレイを多用したジャズとしては異色の音像は、既に特筆するべき物ではなく、
レイヤー的に重ねられた音と間、繊細な音選び、情熱的な爆発っぷりは、
もう普通のジャズトリオと呼べない作品とはいえ、現代音楽と片付けるべきでもないように思う。
特筆すべき点は、今回の曲タイトルが、組曲形式に成っている点であろう。
これはかなわぬ夢だけど、どうしても次の作品が聴きたかった。
この作品を作り、果たして次作での音はどんなだったのだろう。
バンドのメンバー、そしてスキューバダイビング中の事故で亡くなった Esbjorn の無念を思うと。
ノイズ版キースジャレット
★★★★★
先日ラジオで彼らを知って興味を持ちました。クロスオーバーなトランス感のある曲が流れていました。JAZZ的に言えばグルーブ感のある曲。
早速聴こうと購入したのがこれ。何も前知識なく聴いた感想は表題の通り。キース好きな自分にとっては一瞬コピーかと思うくらいピアノフレーズ(うなり声まで)がそっくりだったので、むむむむ・・・だったのだけれど、何度も聴き返すうちにこれはこれでアリだなと思った。
静かな曲調から展開して激しいバトルを演じ音が割れるライブ感。
こういうノイズの使い方にあまり慣れていない自分は録音が悪いと最初思ってしまった。が後ろでカチカチとサンプラーのスイッチらしき音がする。恐らく意図的な狙いでやっているに違いないノイズがいたるところで聴かれる。
そういう意味でヘッドホン向きではない。ただし、感度のそれほど良くないヘッドホンなら聴こえないかもしれない。
アンプノイズが感度の良いヘッドホンで聴くとかなり目立つし、やはり録音は最近のものにしては(ECMを基準にして)悪い。
ま、ライブをこっそりDATで録音したと思えばそんな感じ。これも計算された演出なのか?
後で知ったのだけれど、このアルバムが彼らの最後のものらしい。リーダーであるエスビョルン・スヴェンソンが交通事故で亡くなってしまったから。そういうことを踏まえて聴いてみると途中で挟まれる1分あまりの空白の曲(曲と言えるのか?)が彼に捧げられた黙祷のようでもあり、そこにあるべき曲があったのでは等の憶測が生まれて来る。
何度も何度も聴き返すとこの時折訪れるノイズは霊界からの信号?物悲しい声?うなり声?
E.S.T.初心者である自分が判ったようなことは言えないけど、それでもなにかを感じてならない。
一歩踏み込んだ印象とただ音楽として聴く印象ではきっと全く違うと思います。
僕は彼らの他のCDも聴きたいと思いました。