この恐るべき教科書にはさまざまな記述が見受けられる。
日本にさまざまな文化を与えてあげた(本当にそう書いてある!)と書いており、さらにはそれが捏造(法隆寺の金堂壁画の作者は断じて曇徴ではない)であるなど呆れるしかない。
さらに江戸時代の朝鮮通信使が文化を伝える使者になっていたり、3・1独立運動を「インド、中東での帝国主義民族運動の先駆的な運動で㡂¡あった」とするなど事実無根な記述まで存在する。本当に独立を勝ち取った民族に失礼千万な話だ。
この教科書で学んだ韓国人が、どのような歴史観を持ちうるか容易に想像が可能であり、ここから日韓ワールドカップや釜山におけるアジア大会での傍若無人な外国人への態度が生まれていることが理解できる。
そういう意味において、多くの日本人に本書を読んでもらいたい。そして、韓国に対して(半ば哀れみの心で)大人の態度で接してもらえるようになればと考える次第である。
しかし、この教科書の最大の問題点は別にある。それは、対中関係である。
日本が建国以後中国の文化的影響は受けるものの政治的には自立していたのとは対照的に、韓国は建国から日清戦争までの間中国又の強い政治的影響下(事実上の属国)にあった。いわゆる冊封体制である。しかし、この教科書では韓国は歴史的に見て中国と対等の独立した国家であったという姿勢が貫かれている。このような現実離れした夜郎自大的歴史観が韓国の国家公認となり学生達に刷り込まれ続けているとすれば、それが現在の韓国の外交に及ぼす悪影響は計り知れない。今年に入ってからの韓国外交迷走はその現れであろう。
韓国は、ロシアのプーチン大統領の訪韓当時、米国が推進するNMD体制に反するABM制限条約の維持・強化が必要だというロシアの主張に同意するという過誤を犯した。また,北方領土でのサンマ漁を日本政府の抗議を無視して韓国が強行したことは多くの日本人を激怒させ、結局韓国は日露両国海域でサンマ漁から締め出されることになった。現在の韓国には大国の対立問題への関与を避け、大国の方針に合わせて国家を運営するという賢明な外交方針こそ望ましい。しかし、誤った歴史教育が改善されない以上、今後も韓国は愚かな外交を続けるに違いない。
誤った歴史教育がもたらす悪影響について現在進行形で学ぶのに韓国ほど最適な題材はない。この本は外交・歴史教育に関心を持つ人間に必読の書である。