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エロスの涙 (ちくま学芸文庫)

価格: ¥1,575
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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はまるひとははまる ★★★★☆
バタイユの最後の本だったような気がします。
『エロティシズム』では、「禁止」(法)とその「侵犯」という弁証法(ヘーゲリアンですから)が強く前景に出ていましたが、本書では「死」と「恍惚」についての考古学とも呼べるものが展開されます。
本書で提示される「小さな死」、「中間項」といった概念は、思想的にも注目されるべきものだと思います。
ただしバタイユの思想史への位置づけは現代でも悩みどころでしょう。
本書は、読みやすいという点では良い本だと思いますが、『エロティシズム』での自身の考察を背景に書かれているため、『エロティシズム』を一読してから読まれると内容を整理しやすいはずです。
視覚的にも文章的にも強烈な本 ★★★★★
バタイユ自身そう言っているが、『エロティシズム』の簡易版という表現がこの本にはよく似合う。『エロティシズム』が純粋な哲学的思索の結果であり、その証拠として論じるのが主に文学作品であるのに対して、この『エロスの涙』はあえて思索部分をばっさり捨てて簡潔な論理と結論だけを提示する。そして証拠として、わかりやすい視覚資料、とりわけ絵画や考古学的資料を提示する。ゆえに深く読解すれば論理的説得力は劣っても、勢い、ともすれば破壊力はすさまじいものがある。

入門書としても適しているかと言われると、わかりやすいという点では満点なのだが、誤解も生ませやすいので何とも。最後の中国人の処刑はグロいので注意。
絵画という古びた不抜性 ★★★☆☆
評論である。セクシャルな写真及び絵画を全編にわたり掲載することで
持論の援用にしている。評論でありながらもその半分は言葉でない映像に頼ったものである。端的にいって、写真集と呼ぶのが適切だとおもわれる。バタイユはきわめて言葉の少ない作家で、いわゆる読者に不親切な文章を書く。いわば詩歌のようなものだ。センテンスで読むと非常に鋭く英邁な才知にあふれているのだが、すらすらと小説を読む感覚で流して読むと手のひらに溜まらない水のように手応えがなく、ゆえにつまらない本という極下の読後感で局が結ばれてしまう。しかしそれこそがサロメの蒙昧さであろう。バタイユの凄絶さはエロティシズムが肉であり魂であり人体であると説くエロスの全能感にある。すべてに先駆ける肉欲を一枚の絵画に表象する。バタイユの絵画、それはバタイユの紡ぎ出す典麗たる文章に他ならない。『エロスの涙』は性器を象った石の彫刻にはじまり、中国人の肉刑を撮った人体を切り刻む写真で結ばれている。バタイユがみたエロスの彼岸は死を否定しつづけながら暗闇に舌舐めずりする人間の業病とも呼べるものではなかろうか。雨が降り、川となり、我々を潤す水となる自然の恩恵を人間は快楽で燃やしつくす。
危険な書物 ★★★★☆
確かにバタイユの中では親しみやすく、
読みやすいうちの一つではある。
しかし、随所にいつもの論理の飛躍はあり
そういう意味でバタイユらしさも感じることができる。
バタイユ最後の著書ということで
バタイユが生きている中でどこに漂着したか、
あるいみその終着点をみることができる。
ただそれは宗教的恍惚と死とエロチシズムとの
常に追い求めていた問題の最も極限化された形なのであるが。
最後の中国の処刑などのくだりはおぞましい。
フランスにて当初発禁処分をうけたのも最もという感じ。
しかし、それでもあるひとつの真実であることには
変わりないという気がした。
人間のおぞましい真実、それを真正面から見つめるか
それともそれを覆い隠すか、それは読む人しだいであろう。
読むのに多大なエネルギーと労苦を要する書物、
でもそれだからこそバタイユは評価され、そして多数の人をひきつけ
多数の人に読まれるのだろう。
ただ全てのひとにおすすめできるわけではない。
思想とは概してそういうものかもしれないが。
言いたいことは分かったが ★★★☆☆
処刑されるものの快楽。
というような、常識では考えることの出来ないことが書いてありました。面白い考え方だし、知識として楽しいとは思いましたが、「本当かよ!」と思うしかありませんでした。
バタイユ自身が彼の最良の本だと言っているように、分かりやすいということは確かな一冊。