生きるってのは、こういうことではありません。
★☆☆☆☆
ブラック会社とか、流行のネタを持ち出して、上っ面の風刺をしてみせる社会派気取りの映画なんだろう、と思っていましたが、違いました。
もっと質の悪いものでした。
未見の方は勘違いしない方がいいと思いますが、これはいわゆる"ブラック会社"なる環境を、ある意味で肯定する映画です。
劣悪な仕事の環境においても、とにかくガムシャラに頑張ればつかめるものがある、何故ならそれが仕事というものだから、というのが、この映画の基本のメッセージのようです。
確かに感動させられるところはありました。
主人公を演じる小池徹平が素晴らしく、一人の若者が厳しい現実に巻き込まれながら、自分を見つめ、迷いながらも、時に周囲の人の助けを受けて切り抜け、最後には職場全体を前向きな流れに巻き込んでみせる様を、この役は彼以外には考えられないと思わせるほどに好演していました。
ただそれは、主人公の一生懸命な姿、自信のなさや過去の悲しみを抱えながらも懸命に生きようともがく姿が感動的なのであって、それ以外の何物でもない。
それは、若い人が意志を持って逆境に立ち向かうときには、いつでも、どんな場面でも生まれうるものだとは思いますが、それに何も意味を見出さず、押しつぶしてしまうのが、おそらく現実の"ブラック"な労働環境なのだと思います。
映画の後半、とうとう限界に来た主人公が溜め込んできた思いを叫ぶ感動的なシーンがありますが、おそらく本当のブラック会社では、ここから何も生まれることはないです。
主人公の叫びは虚しく空気を震わせるだけで、人間的な感情を奪われるほどに疲弊した同僚たちは、反応することもできずに、ただ目の前の仕事をこなしていくだけ。
現実はもっと冷たいです。
そしてそれは当然、何かが狂っている、否定すべきもののはずです。
この映画には"ブラック"な環境自体に対する批判的なメッセージが何も感じられず、そこに初めから違和感があったのですが、監督のインタビューを見て、ああ、何もわかってないんだ、というのがよくわかりました。
ブラックかどうかは「人間関係」によって左右されるもので、それにはまず自分を変えなければならない、と・・・。
そういうレベルの問題ではないというのが、わかっていない。
結局のところ、システム下請け会社の現場の惨状を材料に、映画の制作の手練がお仕事としてきっちり感動作に作り上げた、本質をえぐっていないニセモノの映画だと思います。
作品としては面白いけれど、内心は複雑です。
★★★★☆
「定時なんて都市伝説だ!」と言ってしまうような「ブラック会社」の
存在が、どんなに過酷で恐ろしいかを描きながら、主人公の成長ぶりを
コメディタッチで描いた作品です。
例え「ブラック会社」でも、敢えて暗くなりすぎずコメディ作品に出来た
のは、「キサラギ」の監督作品だから、に尽きると思います。
中でも、池田鉄洋さんのぶっとんだ演技が凄すぎて笑えましたし、真逆
の田辺誠一さん扮する、唯一(と言っていいくらい)社員を達観して観
ている存在の、過去や温かい言葉には、泣けてきました。
総合的には、とても面白い映画でした。
ただ、今の世の中に「ブラック会社」が本当に存在している事は、大変
問題なことでしょう。「IT企業」を格好いいと思う風潮は、まさしくこの
作品の中の「ピラミッドの頂点」だけのことだと思います。
目が回りそうな勢いで進化し続ける、ITの世界。
近い将来、折りたためる携帯など無くなるという話もありますが、その
ような進歩を「便利だ、便利だ。」という前に、どうしてそうなるのか?
をちょっとは考える事も必要なんじゃないか、と思う作品でした。
★4つなのは、品川祐さんの「バカ!」の連発がとにかく嫌だったので。
IT系って頭おかしい奴おおいよね
★★★★★
実際、この作品ほど大げさじゃないにしろ
PGとかIT部署のやつらって頭おかしい奴多い印象
ブツブツ独り言言ってる奴がいたり、デスクにフィギュアやぬいぐるみ置いてる奴いたり
頭長髪でヒゲボーボーの奴いたり、汚くてくさい奴いたり、すごい格好(V系みたいな)で会社くる奴いたり・・・・
これ私が勤めてた会社にいたメンツですからね
まともにコミュできない奴とか非常識な馬鹿が多いよ、ITは
システム屋さんでも、そうでない方でも楽しめる
★★★★☆
ソフトウエア開発の会社をモチーフにした物語です。
ニートから、ようやく三流のソフトウエア開発会社に入社した若者の苦慮を
コミカルに描いています。
私自身がシステム屋なので、実態と照らし合わせて、かなり楽しめました。
華やかに見られがちなIT業界ですが、裏の実態を広く知ってもらうためにも、
この業界でない方にも是非見てもらいたいです。
午前様が続くとブーブー言っていた妻も、
この作品を見てからは、大変な業界であることを感じ取ってくれたのか、
少し優しくなりました(笑)
元々は2チャンネルのスレが原作(?)で、一応、実話に基づいているのでしょうが、
突拍子もないエピソードの連続で、
この業界でない普通の生活を送っている方々には、かなりオーバーに感じるかもしれません。
しかし、同業の私としては、一つひとつのエピソードは確かにありそうな話で、
近すぎず遠すぎずのバランスでうまくまとめた感じに思いました。
ちなみに私は原作(2ch)を読んでいませんので、
これが映画の演出なのか、実話なのかはわかりませんが、
一つの作品として楽しめることには違いありません。
いろいろ書きましたが、何も考えずに、単純に楽しめる作品ですよ。
見る人によってはこれからの事が不安になる
★☆☆☆☆
私は基金訓練の安全衛生という授業でこの映画を見たのだが、はっきり言って面白いとは思えなかった。今は大卒でも職にありつけるかどうかが分からない困難な状況である。どんなに不採用通知を叩きつけられようがみんな必死に頑張っている。にも関わらずこのような映画を出すというのは日本社会を間接的に馬鹿にするもであり、多くの職を得ようと日夜行動をしている就活生に対してやる気を削ぐ可能性があると私自身は考える。見る人によっては評価は分かれるかもしれないが、「ブラック会社」という名称は会社を辞めた、または解雇されたという人が腹いせで流布しているという可能性もある為、一概に言えない。また映画会社および監督はこのような都市伝説(ブラックが都市伝説ではなく現実に存在するにしても、何か解決策はあるのではいか?)に対してきっちりとした厳密な調査もしていない為、いまいち説得力が無い。