パリの建築史を辿る力作
★★★★☆
第一部「建築でたどるパリの歴史」では時系列順に,第二部「歩いて眺めるパリの街と建築14コース」では地域ごとに解説し,縦糸と横糸を紡いでいく。特に近現代建築については取り上げている箇所が多く,20世紀初頭の住宅建築については写真も豊富。
質,量ともに圧巻。しかし,まんべんなく取り上げていることが災いして,叙述は平板的なきらいがある。あの「山川出版社」が送り出している本だけあって,いかにも教科書的な作り。主観が極度に排されているため,躍動感に欠ける。本文で言及する前にコラムが登場したりするなど,構成上の失敗も見られる。
図版の使い方も,あまり上手くはない。建物に通し番号を振って,地図と対応させるなどしてくれたら楽に参照できたのに,と思う。前半の歴史編では,使われている地図が数枚しかないというのも不親切なところ。ナポレオンIII世による都市改造についてなどは,長々と軸線について記述するよりも,端的に図示してくれれば良かったのに,と思う。
惜しまれるところはあるものの,実に頼りがいのある参考書。