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The Honourable Schoolboy

価格: ¥1,203
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Sceptre
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下巻のために、上巻はじくっくり読みこむべし ★★★★☆
1977年 CWA ゴールドタガー賞。
週刊文春1979年 総合9位

”サーカス”=英国諜報部 ジョージ・スマイリー 三部作の第二作目。

”もぐら”のために壊滅的なダメージを受けサーカスは、ライバル ソ連諜報部 指揮官 カーラの”金脈”の端緒を見出す。スマイリーは、(イギリス殖民地時の)香港、カンボジア、ベトナム、中国へ舞台をかえて、サーカス起死回生の闘いを遂行していく。

上巻は、なかなか話が展開していかない。途中で、挫折しかけるのだが、ここで、じっくりと読み込んでおけば、下巻の面白さは十分堪能できるはず。タイトルにある”スクール・ボーイ”こと、ジェリー・ウェスタビー臨時工作員が活躍するのは下巻から。ウェスタビーを主として話が展開してからが見所が多い。特に、戦時下のカンボジアでの諜報活動は、緊張感が高く、社会情勢という点でも興味深い。

組織としての権力闘争が背景に、末端のものの悲哀を描いていたりして、ラストは第三作目への余韻を残している。

第一作『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ 』より、暴力描写は多いが、臨場感は、本作品の方が楽しめるし、続きが読みたくなるという点でも、優れている。ただ、第一作を読んでいないと、本作品の冒頭から、隠語がわからなかったりするので、順に読むことをお奨めする。
大人のためのエンターテイメント ★★★★☆
 この種の作品でここまで貪るように読んだのはこれが初めてであるように思う。イギリス統治下の香港というエキゾチックな世界で繰り広げられる複雑な人間ドラマは実に読み応えがある。英国政府部内の情報関係部署の間の会議や、米国の情報機関との会議など、やけに地味かつ実務的な場面が多く、いわゆるスパイ小説とは一線を画している内容になっているのだが、これがこの作品にリアリティと臨場感を与えている。

 本作は三部作の第二作である。第一作目(『ティンカー・・・』)は必ず読んでおいた方がいい。読んでおかないと本作のプロットは理解できない。また、本作の訳が優れているというのも目立たないが重要なポイントである。
怖いほど計算された構成の妙 ★★★★★
比較的アクションの要素が他の作品よりも強めの小説ですが、それでも恐ろしく地味です。
ただその地味さ加減が恐ろしいほど計算されているようで、筋立てそのものよりの怖いくらいです。
例えば第1章は、それだけで短編小説としても成立しそうですが、香港の記者クラブの喧騒(物語時点の描写)とサーカスの思い出話として語られる本事件の断片(物語の未来の時点)が、口語に入り混じり、徐々に香港を都落ちしたイギリス情報部の惨めな現在と、そこから如何にスマイリーが反撃を成功させたのかが語られるのだと、語られぬ悲劇を暗示しつつ読者に知らせていきます。
また、第2章は全編の序曲ともいうべきエピソードで、一見、無くても成立する章ですが、このときのウェスタビーのしたこと、出来なかったことが、変奏曲として全編を通して語りなおされています。
精密に構成された本作は、物語自体の魅力もさることながら、小説としての構成や語りの妙を如何にエンターテイメントとして昇華させるかという理想的な姿をわれわれに提示してくれているようです。
ルカレはいつも最高です! ★★★★★
スマイリー対ソ連諜報部との戦いを描く三部作の第二弾。前作「ティンカー、テイラー、ソウルジャー」および次回作品の「スマイリーと仲間たち」と3部作を形成するスマイリー対カーラの死闘の一作だ。今度は香港、カンボジアと言ったアジアが舞台であり、またソ連の中国への二重スパイをめぐって、一匹狼的スパイであるジェリーの活躍の場が多い。しかし、やはり、スマイリーを支えるのはコニーやドクといったプロ中のプロ、まさに職人的な人間である。報われない地道な仕事からカーラが中国に送り込んだスパイの形跡をたどっていく。こういった描写はまず他の作者には出来ない。前作でカーラにがたがたにされた英国諜報部を立て直すべくスマイリーはほんのささいな手がかりも逃がさず、中国人実業家を洗い、彼の
弟を見つけ出す。これにジェリーのリーサへの純愛が絡んでくる。ルカレの作品には結構純愛を描くものが多い。スマイリーのアンに対する気持ちや、「ナイトマネジャー」や「ナイロビの蜂」に出てくる主人公も純愛といったテーマで描かれていく。ここまでくれば次回作の「スマイリーと仲間たち」も読んで、カーラへの彼の復讐劇の結末を見ざるを得ないと誰もが思うだろう。
苦い結末そして第3部へ ★★★★☆
私はジョン・ル・カレを「寒い国から帰ってきたスパイ」が日本に紹介されたころから読んでいます.苦い結末というのは,彼の十八番ですね.
この「スクールボーイ閣下」でも,いくつかのエピソードが次第に紡ぎあわされて,なんともやるせないエンディングに向かいます.

そうして,宿敵カーラとの対決となる最終解決は3部作の最後「スマイリーの仲間たち」へ.
3部作の真ん中というのは,展開が難しいせいかあまり面白いのがないというのが,私の偏見でしたが,この「スクールボーイ閣下」に限っては,それは当てはまりません.
なお,3部作とはいうものの,各編ともほぼ独立して楽しめるような構成になっています.