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太極拳の科学 (〔正〕)

価格: ¥1,575
カテゴリ: 単行本
ブランド: 愛隆堂
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運動エネルギーの勢いではない ★☆☆☆☆
太極拳の力の出し方は、他の格闘技の力の出し方と違う。ということを
武術をやっている者ならどこかで聞いたことがあると思う。

だがこの本に書かれている纏絲勁の説明では
「足のねじり込んだ力を体の各部のねじりとともに順次に加え伝達していく」
「筋肉を同一方向へ力を発するために締め上げるもしくは捻り上げるやりかたである」とある。
これはむしろボクシングの打ち方だと思う。
(ボクシングのパンチの打ち方もをカカト・膝・腰を捻り運動エネルギーを伝えていく。)

ボクシングや空手も体の各部位を捻って力を伝えるので
じゃあこれも纏絲勁なのか、と太極拳の纏絲勁と混同してまったのではないか、
だから「数分の一秒の間に伝達が終了してしまう」
「当たる寸前に纏絲勁が終了してしまうと意味がない」と書いている。


纏絲勁は正しい姿勢を保てば常に出し続けることができるもので、
それも拳だけでなく腕や足や体全体に四方八方に張るように出る力である。
これを「膨勁」といい、武術としての太極拳を学んでいる者なら大抵知っている。
(膨勁は言い方は違うが八卦掌や形意拳やほかの内家拳にも存在する。)
また、站椿功などの静功や太極拳がゆっくり動く理由の一つもこの「膨勁」を常に感じ養うためである。
陳式太極拳の早く打つ動作も「膨勁」で打つのであって、決して運動エネルギーの勢いで打つのではない。

著者はこのことを学ばなかったのであろうか。
だから
「毎日中腰で立っていても意味はない」
「拳の打ち方は鎖につないだ鉄球である」
「単鞭・乱札衣の体当たりは不自然」
という考えにいたったのだと思う。
この考えはキックや空手をやってた人、静功やゆっくり動く練功を嫌った人に多い。
(単鞭・乱札衣に掌打の使い方もあるが、あくまで膨らむように出る力で打つ)


ボクシングと空手の打ち方は違うというが、ある程度の共通性があるのに対し
太極拳の打ち方は他の格闘技と根本から全く違うものである。
ほかの流派や格闘技で得た力を使って太極拳の技で戦うことはできるかもしれないが、
その中身が太極拳であるかどうかは別である。


この本に書かれていることは
キックや空手をやってる人には共通性があるのでなるほどと思うかもしれないが、
太極拳を学んでいる者にとっては太極拳を学べば学ぶほど、太極拳の基本原則からずれていると思ってしまう。


最後に、私は競技としてでなく武術として太極拳を学んでいる者であり、
他の流派や格闘技を批判しているわけではなく
発勁=気だと考えている神秘主義者でもないことをつけ加えておく。
格闘技としての太極拳 ★★★★☆
ちくま新書の「使える武術」という本で、「太極拳は、健康法どころか軍隊の特殊部隊の野戦体術も及ばないほどの必殺拳法である」と紹介されていましたが、この本はそういう武術としての太極拳を紹介した稀な、そして貴重な本です。

太極拳が、何故、密着大勢での闘いを選ぶか?その理由、そして欠点、そこから寸勁の意義とコツ、さらに発勁の説明と・・・「太極拳の科学」というタイトルにふさわしい説明が続きます。

ただ少し分かり難い説明が散見されます。(筆者も書いている通り、本で武術を説明することに無理があるのは確かなのだが)

寸勁についても、ブルーバックス「格闘技『奥義』の科学」や「使える武術」の方がはるかに分かりやすい説明がされています。

ただ分かりやすい説明というのは、結果、それを読んで、『あー、体重を乗せて打つのか!』というボクシングのパンチについて語っても通用するような、そして勘違い以外の何物でもない理解(?)をしてしまう読者も出てくるのでこういう説明も必要なのかもしれません。

姉妹書に「太極拳の神秘」があり、この本との位置づけが、これも、少し分かり難い。
「太極拳の科学」(この本の方が先に書かれていることだけは間違いない。)が理論中心、「太極拳の神秘」が技術中心の説明のようにも見えるが、ひどく基本的なことが、「太極拳の神秘」に書かれたりしていて、「太極拳の科学」で説明仕切れなかったことを、「太極拳の神秘」に書いたような感想を抱いてしまいます。

結果として、読者は両方読まないときちんとした理解が出来ません。

このため星4つにさせて頂きました。



名著です ★★★★★
日本で初めて太極拳の戦闘法の本質を紹介した本の復刻版です。
二十数年前は縦書二段組みでしたが、横組になっての再版です。
愛隆堂の書籍は、中国武術、古武道、ムエタイ、ブラジリアン柔術と幅広いです。
一方で、再版未定のようなものも多いですが、
そのようななかで、本書は二十数年読み継がれている、まさに名著です。
本書の魅力は、太極拳戦闘法の解説だけでなく、
そのウィットに富んだ見事な文章にもあります。
本書に対するありうる批判などを、前もって受け流している(化勁か)ところなども見事。
姉妹書のレビューには「太極拳ぽい南派拳法」を紹介しているとありましたが、
陳孺性氏は幻の名著『鉄砂掌』の著者のお弟子さんということで、両書ともにまぎれもなく太極拳の解説書です。
実際に闘う武術をやっている人には、大変に参考になる本でしょう。