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象は忘れない (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

価格: ¥819
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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非常に静か ★★★★☆
殺人も起こらない、
怒りやら、発狂やらの描写もない
非常に静かなミステリーです。

殺人は起きませんが、
過去の殺人の真相は調べます。
ちなみに、ポアロの「真の最後の」
登場作品です。

でもこれ、真相はある事実が
判明した時点で大方の予想は
つくような気がします。
完全な事件の図は描けなくてもね。
なので、記録として読めば面白いかも。
ポアロものでも、オリヴァがでてくるのは安心して読める ★★★★★
ポアロものでも、オリヴァがでてくるのは安心して読めます。
オリヴァが、ある意味、アガサクリスティの分身でもあり、
作家生活について表現したいことが、ところどころで本音として現れています。

物語は、悲しいお話ですし、一卵性双生児についてと、精神病に関する記述では、
妥当性について考えさせられるところもありました。

アガサクリスティが人間性を大事にしているということが分かっていて読めば問題がないですが、
誰の作品か分からずに、この本だけを読むと、よい印象を持たない読者もあるかもわかりません。

ファンの目と、通りすがりの読者の視点の違いが気がかりです。

ただし、「象は忘れないが、人間は忘れる」というのが大事な伝言だと思いました。
つまらないことを忘れる能力が、人間が大事なことに集中できる力なのだと。
あるのは素敵な会話だけ ★★★★★
作家のミセズ・オリヴァと私立探偵のポアロが仲良く捜査にあたる、2人のファンにとってはたまらない作品です。ほとんどが取り留めのない会話で成り立っているので、まるでお喋りの輪の中に自分も加わっているような楽しさがあります。

ミセズ・オリヴァもポアロも、話を聞きにいった相手から、聞きたいことを見事にひきだします。クリスティがポアロを描いた最後の作品だそうで、その円熟味もさもありなんという感じがしました。実際のクリスティも人の話を聞くのが天才的に上手だったのではないのかしらと、本の内容とは関係のないところに思いを巡らせてみたりして。

似たスタイルの話に「五匹の子豚」があります。私は両方とも大好きなのですが、この「象は忘れない」では、おしゃべり好きな二人がピーチクパーチクしている間に真相に近づいていくストーリー運びが、ある意味新鮮で円熟味が感じられ、特に気に入っています。
表題が不思議 ★★★★☆
クリスティ最後のポアロ物という触れ込みなので、
作家の最後の終着点を読みたい!という思いで、
がんがん読んだ。

実際がんがん読み進んだ。

表題の「象は忘れない」という言葉が、そこかしこにポイントと
なって出てきて、僕たち読者の読みたい気持ちを増幅させる。

みんな、てんでんばらばらな思い出なのだけど、
どこかに筋がある。
記憶とは、どういうものか?
というテーマも少しはあるのかな
などと、推理とはまったく違う観点からも楽しめた。

悪くないが ★★★☆☆
回想により推理するスタイルというと、同じ作者の「五匹の子豚」があるが、それと比べると大分落ちるなというのが正直な感想。

まあ、駄作ではないし、傑作とも言えない、クリスティーの中では“まあまあ”の部類でしょうか。