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アウトレイジ オフィシャルガイド (日経BPムック)

価格: ¥1,260
カテゴリ: ムック
ブランド: 日経BP社
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久々にバイオレンス映画に挑む北野武監督がキャストを一新して作り上げた『アウトレイジ』 ★★★★★
 3月9日〈日本時間10日〉にフランスから芸術文化勲章の最高章コマンドールを授与されるなど、現在(いま)や世界的な“マエストロ”と称され、カリスマ性が世界に浸透している映画監督・北野武。本書は、『BROTHER』〈2001〉、『座頭市』〈2003〉以来、7年ぶりにバイオレンス・アクションに挑んだ話題作『アウトレイジ』〈6・12公開〉のオフィシャルガイドブックである。
 本作はヤクザ社会において金と権力を手に入れるためだけに権謀術数をめぐらすヤクザ同士の熾烈な権力闘争を描いた極悪非道な群像劇である。

 今回、森昌行プロデューサーが北野武監督にとって久々の原点回帰となるバイオレンス作品を撮るにあたって一度リセットする意味でキャストを一新させた事に評価したい。大杉蓮、寺島進といった北野作品お馴染みの顔ぶれが登場するだけで食傷ぎみになる事があるからだ(もちろん両氏が悪いワケではない)。それともうひとつはキャストが一新された事により、他のドラマや映画で活躍する有名俳優たちを北野監督がどのように演出するのかも本作の見所だ。

 ドラマなどではどこか繊細でひ弱な青年を演じる事が多い加瀬亮が切れ者の雰囲気を漂わせるヤクザ・石原を演じ、現在ではお父さんやサラリーマン役が多くなり、実に『悲しきヒットマン』〈1989:一倉治雄監督〉以来20年ぶりのヤクザ役となる三浦友和に会長の命に服従する若頭・加藤を演じさせ、そして何より注目させるのは『踊る大捜査線』の神田署長役で一躍人気俳優となって以降、いいひとを演じる事が多くなった北村総一朗に絶対的な権力を持つ狡猾な山王会会長・関内を演じさせる北野監督の心憎い配役に拍手を送りたい。

 ちなみに北村氏は本作で初のヤクザ役と紹介されているが、実はその昔、刑事ドラマなどでよくヤクザ役や犯人役を演じてこられており、この度久しぶりにヤクザの親分をどこか生き生きと演じている氏を拝見して十分堪能した。