1996年リリース。
ゲストとしてスタン・ゲッツを交えた欧州でのライヴ記録である。
ゲッツ&エヴァンスといえば、1964年に録音されたものの、不調に終わったためお蔵になっていた音源をVerveが勝手に発売した73年盤がある。
この欧州ライヴも、演奏曲目から見て、73年盤に呼応したアイデアだったのだろう。
しかし、オランダのライヴではGetzが予定外の曲を吹き始めるという事態にEvans憤激、ということがあったようだ。(詳しくはヘレン・キーンのライナーノーツ、および2曲目の『Stan's Blues』参照)
演奏内容は、非常に素晴らしい。
1曲目の『Grandfather's Waltz』の淀みなく流れ出るGetzのフレージング、それにも増して華麗なEvansのソロ。ラストのトリオ演奏『Two Lonely People』のあふれる叙情。どれも秀逸。残念なのは、ライヴ全体の収録ではなく、コンピレーションされていること。オランダのトリオのみの演奏はもっと聴きたいところだ。
音質はテープノイズが大きめではあるが内容がその欠点を凌駕していよう。
また、ジャケット写真では二人仲良くニッコリと笑っているが、実は別々の写真を合成したものなのだ!
アルバム全体に流れる詩情感はすばらしく、スケールの大きさ、インプロビゼーションのすばらしさ、インタープレイの楽しさともに、スタジオ盤をはるかに凌ぐ。
多少の録音の悪さ(特に観客の拍手を入れるごとに演奏のホール鳴りが大きく入っている)がある分、星1つマイナス。