日本では年間3万人が自殺で亡くなり社会問題となっているが、その遺族の声というのはあまり知られていない。この本では「小さな風の会」という子ども亡くした親の会を中心とした方の声をまとめたものである。母親の声が多いが父親の声も紹介されている。また、紹介された中の一人には、直後から年を経るごとに変化する心境についてまとめられたものもある。自死で家族を失った人は「なぜ、どうして」という呪縛の問いの前に立たされる。しかし、子どもへの「なぜ」と問い詰める過程を経てそのまま受けとめてあげたいと思うようになる。そのとき、問い詰めていたときには見えなかった子どもの姿が見えるようになるという下りは印象的であった。
★一つ減点した理由は、小さな風の会の連絡先が明記されていないことである。特に、小さな風の会に限らず、このような自助グループの連絡先は是非明記して欲しかった。