彼の作品としては主人公たちがよい人間であり、そして救いのあるラストとなっている（それでもかなり厳しい現実をふまえてはいるけれども）。冒頭、仲間が銃で撃たれるシーンから始まり、最後朝ホームで電車を待つシーン、ホームレスの住む横を歩くシーン、冗談ではなく本気で魂が洗われる思いでした。よけいな台詞がなく、映画全編にわたって流れる攻撃的なものではなく、ここでは透き通るように美しい歌が本当に心に染み渡るようだった。キッズもかなり好きな映画ではあるけれどこれも本当にいい。この監督の作品にはがっかりさせられたことは一度もない。すごい。天才だ。

タイトルにも書きましたが、ゲットーでのヒスパニック系移民の子供達の日常がどんなものなのか興味がある方には面白い映画かもしれません。

ドラッグ、セックス、アルコール、暴力、そしてお金をかけずに仲間達と楽しめるスケボーやバンドの練習。これが繰り返される彼らの日常の中に、きらりと光る何かがあるのかと思って、途中で何度か見続けるのをやめようと思いながらも、なんとか最後まで頑張って見てみたのですが、結局私には最後までそれは見つかりませんでした。皆さんがご覧になったら、何か感じられるものがあるかもしれません。

だけどもしかしたらゲットーにはそういう希望の光みたいなものがないからこそ、彼らはロックバンドを結成して音楽に打ち込んだりして何かに必死にしがみつこうとしているのかな。