もともと写真家であるラリークラークは「写真は一瞬を切り取り、映像は時間を切り取る」とインタビューで語っていました。実際、このキッズという映画では『動く写真集』を見ているような印象を受け、この本で見た時の方がインパクトが強かったような気がします。
ラリークラークの映画はこの「キッズ」の他にも「ブリー」「ケンパーク」があり、どの作品でも十代の若者を描いています。キッズではスケーターの荒れた生活を、ブリーでは実際にあった殺人事件を、ケンパークでは家族や社会との繋がりから破滅していく若者を描いています。
こんなにも十代の若者を描く理由を、本人はインタビューの中で「自分が得られなかった青春時代に対する憧れからだ」と話しています。十代を迎える以前からドラッグなど荒れた生活に関わり、身についてしまった冷静さが彼から「青春時代」という感覚を奪ってしまったということを話していました。
映画、写真に関わらず彼の作品の中で、若者は美しくも、批判的にも描かれていません。ただありのままの姿がそこに映し出されています。そんなラリークラーク視線を知るために最適な本だと思います。