蓄音機を知りたい方、もっと知識を深めたい方
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蓄音機というと、ノスタルジーとして扱われることが多く、本物を聴く機会も少ない故に、過去の遺物と思われているようだ。しかし、実際にその音を聴くと、思わぬ音の良さに殆どの人はびっくりするだろう。この本では、蓄音機が生きていた明治の終わりから始まる、ハード・ソフトに関しての本物の地に付いた話を知ることができる。開発の歴史、レコード生産方法、蓄音機本体の構造、使用法など、本当に蓄音機を愛し、実際に使用し、SPレコードのコレクションをしてきた筆者から聞く話は、図鑑のような蓄音機の本からは望むべくもない、暖かく、実際にどうなっていたのかがよく分かる話がたくさん詰まっている。文体もコンパクトで分かりやすい。また最後の章にディボーの生家と最後に住んでいた家を訪ねる話がある。これからも筆者の情熱が伝わってくる。蓄音機とは何かを知りたい方、蓄音機を愛する方、どちらにもお薦めできる本と思います。