三原家の兄弟と野々宮家の姉妹は、それぞれ長男と長女、次男と次女が結婚していた。残るは三男・三郎(川口浩)と三女・杏子(若尾文子)を結び付けるのみ。若いふたりはそんな周囲の思惑に反発し、お互い恋人がいる事を宣言してしまうが、実は杏子にはまだ恋人はいなかった…。
源氏鶏太のベストセラー小説を原作に、増村保造監督が手がけたラブ・コメディの快作。とにかくこの主人公カップル、いがみあえばいがみあうほどに愛が深まっていくわけで、増村演出ならではのモダンでテンポの良いストレートなタッチは、こうした恋愛の矛盾を実に気持ちよく描出しているのだ。また、そういった若者たちの恋が、実は大人たちの掌の上で踊らされているだけであったようにも思えるあたりが、さりげなくも人間ドラマとして奥深いところである。(増當竜也)
いま見る違和感
★★☆☆☆
映画としての出来はわるくないと思いますし、俳優の方々の演技も上手だと思います。 内容と対象の描き方によい意味でも悪い意味でも時代を感じてしまいます。
原作の源氏鶏太という作家は、いまとなってはほとんど忘れられてしまいましたが、当時の売れっ子作家の一人です。よく言えば、戦後の新しい時代の感性やサラリーマン風俗を軽やかにコメディータッチで描くのが得意な作家であり、逆にわるく言えば、都会生活の空虚さが意識されないように、小市民的な欲求を一生懸命に満たそうとする新世代の若者を、あたかも皆よい人であるかのようにおもしろおかしく描くサラリーマン万歳のプロパガンディスト的な作家というところでしょうか。
殺伐としたサラリーマン時代の到来の原点を見る思いがする映画です。まだ首都高速も新幹線もない東京ですが、古きよき時代をいかに忘れて、ほとんど無批判に都会の生活に浸されていく人々、自分のために他人を利用しようとする、サラリーマンと「ビジネスガール」にあふれています。一体、どこに、なぜこんなに元気があるのか、と不思議に思うような人々にあふれています。いまの感覚で見ると、相当な違和感を覚えるのではないかと個人的には思います。
この映画で描かれているような心性を部分的に共有していた人々が、高度成長〜バブルまで突き進んでいったのだろうか...と後続世代の一人として複雑な思いにさせられる映画です。このような屈託のないサラリーマン喜劇が高度成長期のサラリーマンを元気づけた、というような一義的な解釈だけでは、もはや不十分な気がします。
平和な映画
★★★★☆
舞台となる時代が高度成長期だけに、若者が怖いもの知らずの豪快さを持っています。お金が入れば、どんどん使うし、女の夢は素敵な人のお嫁さんになること!
今では考えられない平和さに満ちています。今の中国に似てるかな。
この時代に生まれたかったと思わされる映画です。
まるでイタリア映画!!
★★★★★
イタリア映画のようだ、という感想は
日本映画に対して大変失礼ではあると
思いますが、とにかく日本的な湿度を
感じないオシャレな映画でした。
まるでベルトルッチが日本で撮った映画のようです。
スクリーンが開いて、タイトルからはじまる
ロールの部分からして、ハイカラ!
空襲で焼け野原になったところに
父親が自分で建てたという家に住んでいる
若尾文子は、元気ハツラツ!!
川口浩もいいですねー。
行け行け川口浩! イケイケ若尾文子!
★★★★☆
これは良かった。昔の邦画のイメージも増村監督のイメージも覆す、軽妙なラブコメディですね。小津がカラーの時代に若手監督だったらこんな映画を撮るんじゃないかと思った。
ジャケットの写真は表示されてませんが、川口&若尾のおどけた記念写真が使われてて、洒落てます。