この本に限らず,田畑吉雄氏のテキスト(例えば『金融工学入門』等)は幅広いテーマを扱いながらも,必要事項がコンパクトにまとめられており,非常に満足しています.
本書でもLP,非線型計画問題の最適化法,ネットワーク解析・待ち行列・在庫管理,時系列予測等,まさに豊富なトピックが用意されていますが,要点をついた説明によって,そう多くは無いページ数でうまくそのエッセンスが伝えられています.
またLPを解くアルゴリズムであるシンプレックス法に比較的多くのページが割かれ,そのシンプレックス法を用いたナッシュ解の導出方法が後の章で紹介されているなど,社会シュミレーションやミクロ経済学に携われる方にとっても非常に有益な本であると思います.
ORに興味を持たれている方に限らず,多くの方に手にとっていただきたい1冊です.
理由は、これまでの統計のテキストなどもそうでしたが、田畑氏のテキストの一大特徴として、例題・練習問題がとにかく変わっていて楽しいことがあげられます。真面目に読んでいるのに、唐突に、爆笑したくなるようなものに出くわすのです。興味のある方は実際に手にとって見てください。
同じことなら勉強は楽しくしたほうがいい、というひとには最適です。