「科学界の若きプリンス」は夕食はおかずだけで、ご飯は摂らないのだ!
★★★★★
小学5年生で感じた素朴な疑問。
「自分って何だろう、生命って何だろう?」
この疑問を科学の言葉で解しつつある新進気鋭の天才システム生物学者・上田泰巳さんの登場である。
「科学界の若きプリンス」とも称される彼。
「プリンス」とは王様になる事が決まっているヒトの事だとか(笑)。
上田さんは久留米出身で東大医学部卒。ヨン様似のイケメン研究者でもある。
今は35歳にして神戸ポートアイランド・理化学研究所に本拠を置きながら、
3つの大学(京大、阪大、徳島大)を掛け持ちして廻る忙しさである。
何と27歳でチームリーダー(大学の教授に相当)に抜擢された早熟の天才だ。
いよいよ、2010年2月のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演した番組のDVD版が上梓されたのである。
「体内時計」
この地球上に誕生して来た無数の生命体には体内時計が備わっている。
それは地球に生まれた宿命でもある。
そしてヒトのマスタークロックは視交叉上核。24時間周期で時を刻んでいる。
青白い光線(つまりお天道様)にもっともよく反応しズレをリセットする。
『真夜中に強い光を浴びると体内時計がバラバラになる』とは上田先生からのアドバイス。
但し、腸にも肝臓にも皮膚にも、ありとあらゆるところに時計(時計細胞)が有る事が最近解って来た。
先生は20個ある時計遺伝子の中の一つに目を付けそのスイッチをいじるのである。
つまり「時計を操る」人類初のチャレンジに挑む。
「全てを疑い、考え抜け。」「訳の解らない事にこそ鉱脈が有る。」と言い、
夕食はおかずだけでご飯は摂らないと決めている上田先生、まるで釜池豊秋先生が乗り移ったみたいである(笑)。
血糖がドーンと上がったら、その後の思索に悪影響が出ますからな。
実に素晴らしい。
「時間医学」
これは私が尊敬する伊藤裕教授(慶大医)が重要視する分野でもある。
リズム・メモリー・サイクル・・・
(朝日を)浴びて、(獲物を求めて)動いて、喰って、すぐ寝る。
このリズムが崩れると不眠や鬱病そしてメタボなど色々の病気が起こって来るのである。
我が国が誇る天才たち=上田先生・伊藤教授・柳沢正史テキサス大教授(オレキシンの発見者)らの今後の研究のご発展が実に楽しみである。
爆笑問題との共著本『爆笑問題のニッポンの教養 「体内時計」はいま何時? システム生物学』も併せて読まれん事をお勧めする。
体内時計の研究の第一人者 研究もビジネスである。
★★★★☆
ものすごい若さで理化学研究所の大学教授並の待遇を受けている方。新聞等でも紹介されており、爆笑問題の学問…にも出演。本編では、生い立ちと通常の研究の風景を表していた。とにかく頭がよさそうである。そして研究の手順、説明も理路整然とされていた。研究テーマに沿って、さまざまな人材を集めて、新しい発見を模索しようとしている。常に新たな研究課題に取り組んでいる。朝も早くから夜も明け方まで、というなんだか研究者の権化のような方であるが、ひたすらロボットのように疲れてはいない感じである。
医学部出身でコンピュータの取り扱いがすごい方らしく、研究テーマのやり取りは圧巻である。
ビジネス感覚を持っているようで、研究に対する見方、部下の育て方もかなり達人であるように思える。まだ若い人ですが…。