現代小説にSFの要素を取り込んだ作品
★★☆☆☆
推理小説には珍しく、多重人格をネタに使った作品です。
各地で起こった一見無関係と思える事件を、
一つの因子にまとめ上げるアイデアは見事です。
ただ、多重人格はどちらかと言えば
SF(サイエンス・フィクション)の部類に当たるものです。
これを現代を舞台にした本格的推理で扱うには少々無理あるのか、
全体を通して、多重人格に関する推理のアラや初歩的な矛盾が目立ちます。
最後も理論的に話をまとめきれず、
投げっぱなしで無理やり終わらせた感があり、
なれない分野の題材を使うのはやはり厳しかったようです。
多重人格を元にした作品、推理小説のどちらを取っても、、
消化不足の印象を受けた作品です。