主演リー・ジアの美しさとその後の汚れの対比が、見るものに感動を与え、とても良い仕上がりになっていると思います。
龍馬伝に出演中（岩崎弥太郎役）の香川照之も、とても良い演技をしていて、日本人にとても親しみやすい映画になっています。
中国の地方都市の伝統的な文化や景色も堪能でき、最後には泣けるシーンもあり、しっとりとしたバランスの良い映画だと思います。

「山の郵便配達」のフォ・ジェンチィ監督の映画だという知識しかなくて見ました。
十年ぶりに故郷に戻ったジンハー。幼なじみで結婚の約束をしたヌアン。彼女を愛し続けたヤーバ。この三人が今日に至るまでを回想シーンを交えて描いています。とりわけ香川照之の演技力は大変優れています。

誰が悪かったというわけでもない。運命の悪戯という表現ではあまりに軽すぎる。人は過去を変えられるわけにはいかない。

美しい自然が残った故郷の風景が、ゆったりとした時間の流れとともに残る。都会暮らしに染まったジンハーの郷愁。
そう感じて見終わっても良いでしょうけれど、実はそれほど簡単な物語ではありません。人ひとり生きてゆく重みというか、
そうした思いを三人三様、背負いつつ生きているのです。

村にあるブランコ。映画ではとても重要な役割を占めているのですが、黒澤明監督の「生きる」にてラストシーンで使われているのを思い出してしまいました。

最後には、爽やかな気持ちになりました。たぶんこの先、何度でも繰り返して見たくなる映画です。

繊細なストーリーと、
あたたかな映像。

誰もが経験があるであろう、
過ぎ行く過去の中で捨ててしまった何かを
丁寧に描き上げた作品。

香川照之の演技がすばらしいです。