1995年作品。正に「漫談ヒップホップ」という表現がぴったりの、大好き過ぎて困る青春の一枚。

日本人離れしたサンプリングセンス等彼らの才能を褒め称える言葉は多々あるだろうが、やはり言語感覚の鋭さは後進のラップ
グループと比較にならない。上っ面はゆるゆるの雰囲気を醸し出しているが、彼らの斜に構えた日常の切り取り方の視点の斬新
さには「こう来るか！」と常に驚かされる。まさに「柔の中の刺」という表現がぴったりのライムは「うん、あるよね〜」という共感を
聴き手に呼び覚ますが、その感覚を彼らの様にユーモラスに言語化できるかというと実に難しいと思う。

ローファイなループが気持ち良い「サマージャム95」は、大学時代特有のモラトリアムな時間を思い出し今聴いてもセンチになる。
朝会社に行くべきか仮病でサボるべきか布団の中で迷うことの多いダメダメ大人の自分にはこの歳になっても共感せずにいられな
い「南極物語」。様々な遅刻の言い訳ドラマをボーズ達が演技力たっぷりに披露する「The Late Show」…どれも誰もが体験する
日常生活の一場面だが、随所で「くすり」と笑わずに居られない絶妙な間の効いたライムは彼らの専売特許のようなものだ。

日本でヒップホップがブレイクする前に、ここまでの先進性を持っていた彼ら。これからも年齢を重ねながら彼らのユーモアと批評
精神は健在の「おやじラップ」をマイペースで発表していってほしい。

この時代にこのアルバムを出したスチャダラパーはやはり天才なんでしょう

今でも夏になったら絶対に聴くサマージャム'95

自分のファンもDISってるFROM喜怒哀楽

他にもジゴロ7、B-BOYブンガクなどクラシック満載

BOSEとANIの巧すぎるラップの掛け合いにシンコの極上のビート

最高にChillできる一枚

間違いなくこの作品を推します。
日本語ラップの金字塔であり、発表から15年弱経った今も
超えることができていない頂点ではないでしょうか。

「逆9to5」というトータルコンセプトを掲げた、
夜行性の遊び人たちにとってはたまらなく魅力的な世界観。
ハードに攻める「B-BOYブンガク」に始まり、
アブストラクトな上ネタに痺れる表題曲、
夏の楽しさ・儚さを描いた超クラシックの「サマージャム'95」、
パーティラップが楽しい「ジゴロ7」と続き、
最後を飾るのは極めつけの「ULTIMATE BREAKFAST & BEATS」
これは個人的にスチャダラパーの中で最も好きな曲です。
枯れたホーンとファンクギターの音が、あの徹夜明けの感覚・・・
疲労や安息や歓喜の名残がごっちゃになった感覚を、完全に表現しきっています。

BOSEのポップなノリ、ANIのローな感じの掛け合いが素晴らしいです。
そして最も凄いのは、やはりシンコの生み出すトラック。
DE LA SOULやATCQの良い部分やニュースクールのエッセンスを取り入れ、
小気味良いビートが刻まれます。
上ネタのセンスが半端無く、間違いなく日本人でNo.1だと思います。
彼らの日常に潜む様々な事象・感覚に切り込むセンスは天才的。
おちゃらけた言葉で語りながら、その向こう側に哲学すら感じさせます。
日本人の青年が住むのはゲットーではなく、普通の街。
普通の街で普通の日常と向き合うことでリアルが生まれる。
ギャングスタ気取りのグループでは一生到達できない境地でしょう。

古さを感じない。そしてカッコイイ。
phobiaやGHETTO INC.もいいと思いますが、若い人には是非一度このアルバムを聴いてほしいです。

五時間ぶっとおしでリピート再生して聴いてても飽きなかった。

サンプリングセンスの高さ、韻の心地よさ、そして世界観のくだらなさ、気だるさ、それが現実とマッチしてしまうリアル感。
力の抜けたクールなサウンド。かっこいいのにかっこつけないかっこよさ。人間臭さ満開。

彼らの言う通り「この曲をチェックしてる奴らに道を間違えるバカはいない」そう思う。
「まるで熟練の質屋のよう　つまり見る目があるってこと」そう思う。

サマージャム９５’のまるで９５年の夏を閉じ込めたかのような作品としての芸術性の高さ。

とにかく時代を先取りしすぎていたためか、マイナー扱いのスチャダラパー。
まあでも現在地が彼らにはぴったりはまっている気もする。