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なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか (ハヤカワ文庫NF)

価格: ¥651
カテゴリ: 文庫
ブランド: 早川書房
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信じる理由は・・・ ★★★★☆
スーザン・A・クランシーはハーバード大学の心理学者である。なぜ、人はエイリアンを信じるのか?ということを様々な実験を通して紹介している。彼女は、科学者でもあるのではないかと思わせるほど鋭い。もともとは、心的外傷体験についての記憶の研究をする為に、性的虐待を受けた人を中心に研究をしていた。ところが、その実験が批判を受けるようになり、アブダクティー(誘拐された人、詳しくは、誘拐されたと信じている人)を調べることになる。人がなぜ、いもしないエイリアンを信じるのか?そのことを、この本は紐解いており、最後の結論は「信じる人は、世界中の多くの人が宗教から得ているものと明らかだ。」となっている。エイリアンがなぜ神と同じなのか? この本を読めば分かります。心理学的にもとても面白い本になっています。
人の心理(信)は不思議な現象を引き起こす ★★★★★
なぜ客観的な証拠もないのに、宇宙人にさらわれたことを信じる人がいるのか、興味を持っていたが、疑問に思っていた点が(すべてではないにしろ)すっきりと解明できた1冊。
様々な証拠や論を積み重ねた結果、本書がたどり着く1点は「信」という答え。つまり、人は「信じる」が故に、自分の理解を超えた(自分の知識では理解できない)現象を、無意識にでも「信じている」ものと結びつけ、何とか自分の精神を保とうとするという事実。
「信じている」からエイリアンに誘拐される(と思ってしまう)というのは、信じる者しか救わない宗教と似通った面があるのかも。というより、宗教が力を失ったからこそ、新しい宗教たるエイリアンに何かしらの救いを求めてしまうのか。
単なる興味本位以上に、いろいろなものを考えさせてくれる1冊だった。
人間の記憶や心理の不思議 ★★★★★
 なぜ、人はエイリアンに誘拐されたと思うのか?心理学や社会学的にこのテーマを解き明かす。訳は読みやすく、論旨は明瞭、結論もすっきりの一冊である。
 「トンデモ」「嘘」「わけがわからない」と切り捨てるのはたやすいが、本書はあくまで合理的、理性的にその謎に切り込む。ここに人間の心理の不思議な点を明らかにしようという科学的な態度が見て取れる。
 人間の心理や記憶というのも、意外とあてにならないというか、不思議ないたずらをしてくれるということが理解できる、知的興奮の一冊である。
楽しくわかる記憶の心理学的性質 ★★★★☆
「宇宙人に誘拐された」記憶という具体例を通じて,体験・経験の記憶についてその性質を,心理学の観点から,読んでおもしろく解説したもの。

タイトルにもなっているテーマ「宇宙人に誘拐された」がインパクトの大きなものだけに,ついアブダクション(宇宙人による誘拐)についての話として読んでしまうが,惑わされず読めば,経験の記憶の本質,それは過去の体験事実の記録ではなく,主観的想像的に形成されるものである,とする,心理学では常識となっている記憶観を一般に啓蒙する内容であることがわかる。さらには,その記憶の性質につけこむ(特に米国の)心理カウンセリング業界への厳しい批判こそが,本書を貫くテーマだ。
もともと本著者の研究のスタート地点は,「トラウマが抑圧されている」とするカウンセリングの流行を背景とした幼児期の性的虐待訴訟の爆発的増加への異議だったように,本書でも経験記憶がいかようにでも作り上げることができるものだとの実証を積み重ねる。さらに,アブダクティのみならず,これまで宗教,特にキリスト教も同じく記憶を歪めることで人を夢中にしてきたことからさらに,なぜ人は記憶をかくも歪めたくなるのか,という根本理由を問う。そしてその根源に「この世にありたい。意味ある存在でありたい。」そう願う素朴な本性を見出だし,最後には,心理学あるいは宗教に,現代期待されていることは何か,その手がかりを与える。

途中アブダクティの細かい体験談が退屈だったり,巻末解説の中身がまったくなかったりするが,現代記憶研究の成果がこれほどおもしろくわかりやすく著された本は他にない。ひろくお勧めの一冊。訳もよく読みやすい。
日本人で宇宙人に誘拐された人が少ないのは何故? ★★★★☆
この書は、決してUFO研究書でも、矢追VS大槻の新機軸でもない。
人間の記憶に関する心理学的リサーチである。
日本で言うところの、金縛りや幽体離脱現象が、睡眠と覚醒の周期と睡眠麻痺機能とのズレによるものと述べている。基本的には、睡眠中に、空を飛んだり、人を殺傷したりする夢が、現実に起こさせないように、睡眠中は、脳から体の運動機能に対する指令を遮断する神経メカニズム(睡眠麻痺)が働いている。それが覚醒期間にずれ込んでしまうためだと説明する。
 また、過去の記憶というものが、系統立てて記憶の抽斗にしまわれているわけではなく、視聴覚触覚などから得られた情報の断片として抽斗にしまわれており、記憶を引き出す時には、物語構造の体をなしていないために、その時どきで過去の出来事の再構築を必要とする。記憶の不確かさは、記憶力のよい悪いに関係ない。そのため、TV、雑誌、他人の体験または催眠療法のセラピストの誘導などに、非常に影響されてしまうと述べる。
 面白いことに、UFOの形態の流行が、葉巻型から、円盤状に変わると、アブダクティの証言もそれにつれて変遷し、彼らが見たという宇宙人の目鼻の形も、TVや映画の番組に大きく左右されるというのも笑わせてくれる。
 ところで、臨床心理学そのものも、アブダクティの診断を、ヒステリー症だとか、統合失調症だとかの当時の流行り廃りで病名を援用しているところが、皮肉ではある。
 日本にアブダクティが少ないのは、心理学的逃げ場が少ないことや、不寛容な社会が原因ではないかと、読後の複雑な感想を抱いた。