とにかく、このアルバムにおいて、ブリティッシュフォーク界の重鎮であったマーティン・カーシーの加入したことの大きさは、他に例えようもない。ここにはじめて、英国の土の香りのする伝承唄が、ロックの語法の下にアルバム1枚を埋め尽くす事になる。
FairportのプロデューサーであったJoe Boydは、Fairportのトラッドのインストゥルメントの楽曲を、悪しきフォロワーの元凶のような言い方をしてあまり誉めていないようだけど、ここでのSteeleyeのインストゥルメントは、明確な音のアウトラインをもち、アイリッシュものとは異なった魅力を発散している。
でも、何といっても、"Lovely on the Water"の切ないギターの音色に尽きる。
ブリティッシュ・トラッド方面を聞くなら、基本中の基本の一枚。
残念なのはこのCD、CDが発売され始めた頃の初期にリリースされたまんまのもので、ライナーノートなどの記述は物足りない。できれば早くリマスター盤とかが発売されてほしいものだが。