グノーシス派、薔薇十字会といった神秘主義的なキーワードを含むエキセントリックなタイトルの作品を数多く作曲、フランス近現代の音楽界を疾風怒涛のごとく駆け抜けたエリック・サティ。画家ユトリロの母親との大恋愛など、エピソードに事欠かないだけでなく、ドビュッシーやラヴェルらへも絶大な影響を与えた。
ピカソとも親交のあった彼のピアノ曲は饒舌な技巧を一切排し、逆説的エスプリに富んだ簡潔なピアニズムに徹した作風でモーツァルトをも彷彿とさせ、前衛的でありながら高潔な古典主義を指向・内包している。
アントルモンの演奏は、サティの神秘主義的思想の内面へ深い共感を示すようなアグレッシブなものではなく、そういったこの作曲家の根幹を理解したうえで、譜面に漂う洒脱なユーモアやウィットを上品にわかりやすく表現する。ポピュラーな作品をうまくセレクトしているため、サティのベスト盤的おもむきもあり、万人に推薦したいCDである。(奈良与志雄)
超POPな、クラシックの《名盤》です。
★★★★★
《アントルモン》の軽妙洒脱な演奏は、《エリック・サティ》という作曲家の本質を捉えていないようで、軽視していたのですが、今聴き直すと、これが非常に良いです。《エリック・サティ》に対して、ヒーリング・ミュージック的な解釈をほどこし、それをポップス的に演奏するという方法は、これはこれで《正解》です。クラシックに興味があるけれど、今ひとつ手が出ないという人にオススメの、超POPな《名盤》です。
定番
★★★★★
サティのピアノといえば、これが定番。
適度に甘さを抑えた、柔らかな色気が好い。
サティのエレガンス
★★★★★
フィリップ・アントルモンというピアニストは、室内楽も得意というだけあって、非常に正確なピアノを弾く人だという印象があります。そして、ことフランスものとなると、大変にエレガント!ともすれば冗長になったり不気味になったりしがちなサティが、とても美しく響きます。
タイトル曲の Je te veux が一曲目ですが、控えめで品のいいワルツに仕上げる感性と腕はさすがだと思います。そして、後半になるにつれ現代音楽的な曲を、やはり品良く紡いでいき、一聴何気ない雰囲気ですが、とても味わい深いアルバムに仕上がっていると思います。
最近は教育に力を注いでいるようですが、サティを弾くアントルモン、素敵です。