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算盤が恋を語る話 (創元推理文庫)

価格: ¥525
カテゴリ: 文庫
ブランド: 東京創元社
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算盤の涙 ★★★★☆
 大正12-14年に発表された「一枚の切符」「恐ろしき錯誤」「双生児」「黒手組」「日記帳」「算盤が恋を語る話」「幽霊」「盗難」「指環」「夢遊病者の死」の10篇を収録した短編集。松野一夫や斎藤五百枝らによる挿絵も併録されているのが嬉しい。
 トリックを重視して推理に重点を置いた作品が多い。ただ、出来映えは玉石混淆というか、なんというか。暗合ものには駄作が多いなあ。
 面白かったのは、「幽霊」。いまでも意外性がある。
 「夢遊病者の死」も、もう少し工夫があれば傑作となったのではないか。残念。
 まあ、読んで損はない一冊だと思う。
最初期の短編群(ただし、超名作は除く) ★★★★★
この本は乱歩の最初期の作品を集めた短編集です。但し、最高傑作群は『日本探偵小説全集』に収録されている為、こちらに収められているのは残り物ということになります。しかし、それでも十分に面白いです。初期作品はエログロ的な趣きは薄いのですが、代わりに論理性を重視した謎解きものがたっぷりと収められています。デビュー2作目にあたる『一枚の切符』は多重解決という要素を早くも盛り込んだ傑作ですし、『幽霊』なども見事な謎解きです。

但し、乱歩の初期の本格推理は犯罪が起きてそれを警察又は私立探偵が捜査するという常套的なストーリー構造を持っていないものが結構多いです。『一枚の切符』などもある人物が別の人物に逸話を紹介するという構成になっています。この辺りが現代の推理小説を読み慣れた人には勝手が違うと感じるかも知れない点です。尚、タイトルとなった『算盤が恋を語る話』はこの時期の乱歩作品の中では異色作と呼べるもので、内容もタイトルも魅力的ですが表題作にふさわしいかどうかはちょっと疑問です。

アナログもいいよね。 ★★★★☆
ソロバンを使って恋心を語るシャイな男性。 それに気づかぬあっけらかんな女性。 最後の展開は、すこし悲しいけれど、浪漫 ただよう話の構成には、脱帽です。