中途半端な態度
★★★☆☆
昭和32年に社会思想社から出た文庫本の復刊。
著者は民俗学者。折口学を引き継ぎ、怪談や妖怪にまつわる研究が何冊もある。
本書は、現代社会における妖怪や迷信の問題を学術的に考えたもの。ただ、1957年の出版ということで、もう半世紀も前のことになる。古い世代は戦前の考え方や生活様式を保ち、若い世代はどんどん進歩的になっている。そういう時代に書かれたもので、一方では妖怪や迷信が薄れ、他方では信じられ続けているという状態が描かれている。当時の時代性をうかがうには面白い本だろう。
妖怪についても、1957年当時、どのように考えられていたか述べられている。
著者がなんとなく時代性をつかみ損ね、視点が定まっていない印象。