文房具の写真を撮る
★★★☆☆
片岡義男さんが、愛用の文房具の写真を撮って、その使い心地や面白さについて語るというエッセイ。
2頁文章、2頁写真という構成である。
取り上げられているのは、ノート、ホッチキス、カード、ペン、消しゴム等々。欧米のものが多い。
文章は、どこの製品で、どんな種類があるか、また写真の撮り方の工夫について書かれている。最初は軽いエッセイなのだが、頁が進に連れ、撮影に凝り出し、また自身の内面に深く切り込んだような内容になっていく。ここが好き嫌いの分かれ目になるかも。
そして、文章につづいて写真となる。この構成は一長一短で、文を読んでいるときはどんな文房具なんだろうとワクワクし、一方で文だけでは分かりづらい点が多い。
途中からどんどん方向性がすれていき、文房具そのものの話が少なくなっていくのが不満。
2010年には角川書店から文庫化もされているようだ。しかし、写真が小さくなってしまっては、価値が半減なのでは?
また、2009年には続編『何を買ったの? 文房具。』が出ている。
美しい文章と写真による文房具エッセイ
★★★★☆
著者のお気に入りの文房具をめぐるエッセイ。片岡義男の文章を読むのは20年以上ぶり。当時、高校生だった自分の好みでは、あまりなかった。どこか、作られた文章で、なんか気障だなって思っていた。大人になった今、読んでみると、なかなかいい文章を書く。
作られた文章という印象は変わらないんだけど、むしろ、それがよく練られていて、それがかえって好ましい。彼が変わったというより、自分の好みが変わったということなんだろうけど。
内容としては、モレスキンのノートをはじめとするお気に入りの文房具を、彼の写真とともに、愛情を持って紹介している。
モレスキンのノートは私もお気に入り。私も文房具好きだけど、彼の趣味と合致するのはこれぐらい。でも文房具を愛する気持ちは一緒。その気持ちが伝わってくるこういうエッセイを読むと、なんだか、この世界に仲間がいたんだって安心する。いい本でした。
海外文具&写真好きのためのエッセイ集
★★★☆☆
文房具が好き、道具にコダワリを持っているという人には共感できる内容だと思います。
見開きエッセイで、ページをめくるとそれに関連した写真が掲載されています。(逆のほうが読みやすい気がしました。)
写真は筆者自らが撮っていて、作品としてもきれいです。本文も、ちょうど見開き2ページで収まるようにうまく作られています。
感想ですが、私としては途中から息切れして、最後のほうは流し読みしてしまいました。どうやって写真を撮影したかといった、写真"ありき"で語られる部分が多くて馴染めなかったというのもあります。
中には共感できたり、美しい表現だなと思うこともあるのですが、恣意的というか言い過ぎに感じる点もありました。
でも、身近なネタでこれだけのうんちくを語れるのは好きな証拠だと思うし、楽しみながら書いた本だと思います。筆者のファンなら。
東京書籍さん、やるねー
★★★★☆
つい東京書籍さんと聞くと「教科書の会社」とフト思い出してしまう今日この頃ですが、この本はそんな学校でも使う「文房具」について、その思いを語ってます。決して、どこかのスポンサーから依頼されて書きました、という雑誌のような薄っぺらなものじゃない。
もう最初の「モールスキン」について、その使い勝手だけでなく、自分がこの文具を使い、何を思い、何を伝えたいのかが、優しい文章で語られている。
つい伊東屋さんや丸善さんの陳列が気になってしょうがない病に罹っている人は読んでください。少し癒されます。あーいつもここに自分の文房具屋があるんだぁー、って。
買ってよかったです。
★★★★☆
文房具の紹介というより 片岡義男さんの独特のタッチで個々の文房具を表現しています。
掲載されている文房具は 現在買えるものや 古くアメリカの地方の文房具屋で見つけたものなど 様々です。 写真が独特です 片岡義男さんの文庫に出てくる70年代から80年代風の色で表現されていく文房具がとても 懐かしくも 新鮮な感じがします。 そんな風な味がお好きな方は おすすめの1冊だとおもいます。 私はもともとそういう風な感じが好きで たまたま 東急ハンズの手帳売場でモールスキンを見ていたら この本のモールスキンのページが開いてディスプレーされていて つい 注文してしまいましたが 忘れた頃にページを開いていまでも見ています。