スカスカの音にエコー、ひとりで最高の夜
★★★★☆
夏の海風を感じさせるレイドバック・サウンドのクリエーター、新境地を、「夜の街」という現代の秘境に見いだした。
マーヴィン・ゲイに捧ぐ、人けない夜の大都会サウンド。
("DEDICATED AND INSPIRED BY Mr. Marvin Gaye"と打ち出したのが、ひときわ目を惹く)
「シーッ!静聴!」と注意うながす短いイントロ、すかさずピィーンと空気張り詰める超高音エレピが、女性コーラスの「チクタク、チクタク」と絡み合いながら、コトコトコトコトとスロー・ファンクの開始を告げる。
これまでよりも一層チープなエレクトロ・ファンクが今作の特徴だろう。
ユーモラスな打楽器、そっけないサックス。泥臭いベースに、ちょいまぶしされたギターの抒情。
音の隙間が大きく、若干エコーを利かせ、寒々とした夜の空間を表現してみせた。
ドレーのGファンクがPファンク寄りなら、今度のウォーレンGはGaye寄りということか。
醒めている、無情の味わい。このアルバムは良い。
正味の曲数が多いところも好ましい。
長い夜に向いている。
車もないし、チャリもない、歩いて帰る街の職人の音楽。大人向け。