気に入らない点はいくつかある。まず、全体的にマンガチックだが、猫のホームズの優秀さを際立たせるために、飼い主をことさらドジな人間に描くという、あざとい演出が鼻につく。ココの飼い主クィラランが、猫なしでも充分主役を張れるキャラクターなのとは大違い。
筆致はマンガチックなのに、内容は意外と陰湿なのも、どうも好きになれない。まあ、日本的なのかもしれないが。
最も失望したのは、ホームズの能力が完全に猫離れしている事。!!ココの場合は「猫にできそうな、できなさそうな」という微妙なレベルなのに対し、ホームズの場合は「猫にそんな事できっこないだろ!」。特に、大勢の人間が出入りする錯綜とした状況を、ホームズがマッチ棒を動かして解説する場面には、ほとほと嫌になってしまった。
中編1つだけで評価するのはフェアでないかもしれないが、もうこれ以上読みたくない。