統計学教科書のスタンダード
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経済・経営の分野で分析を行なうためには統計学の正確な知識が必須である。
しかし、統計学やその発展形である計量経済学を実際に使用するためには数学的に書かれた統計学理論を学ぶだけでは不十分であり、統計学理論の他に、データの種類、記述統計、政府の作成する統計の知識、標本調査の基礎などの幅広い知識を必要とする。この本は、経済・経営への応用を念頭に書かれた統計学教科書の代表的なものであり、統計学を中心に、上記の内容が大きく取り入れられているのが特徴である。第2版では図や例題が増え、より学習しやすくなった。著者のホームページから本書で使われているデータをダウンロードすることができるなど、サービスもゆきとどいている。第13、14章は回帰分析を扱い、重回帰分析(説明変数が複数ある場合の回帰分析)もかなり詳しく扱っているので、計量経済分析の基礎も身につけられるだろう。数式による説明だけで済まさず、文章による詳しい説明が多いのも本書の特徴であり、自習にも適していると思う。個人的には、標本調査のサンプリングの各手法についての説明をさらに拡大しても良いように思うのだが、それをやれば一冊の本には入りきらなくなってしまうのかもしれない。