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アメリカの宇宙戦略 (岩波新書)

価格: ¥735
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
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宇宙に限らず現代アメリカ論、特にブッシュ政権論として読める ★★★★☆
 著者は時事通信の記者であり、本書はワシントン支局長等の経験を生かしてアメリカの宇宙戦略を論じたものである。「はじめに」において、「宇宙を通じて、現代のアメリカを読む」と述べているが、その意図は確かに達成されている。
 特に、コロンビア号の事故からNASAが内包する構造的問題を明らかにしたり、MD計画や火星探査計画に代表されるブッシュ政権の宇宙戦略から、「超大国」アメリカの覇権国家としてのパワーが低下しつつある実態を丹念に解きほぐしており、単にサイエンス的な視点による紹介に止まっていない。論についても、学者や科学技術専門誌記者、元NSC職員、MD計画関係の軍人等、綿密な取材を通じて事実を明らかにしたうえで論を展開しており、明快であり説得力がある。
 また、著者は、所謂「9・11」同時多発テロについてリチャード・クラークの著書を引用したうえで、「一点突破」主義のブッシュ政権は、自らの情勢認識に基づいて決定したプライオリティに従って政策を進め、それ以外の問題を無視するか軽視する傾向があるとし、それが「同時多発テロを招いた誘因の一つ」(p111)ではないかと述べている。いささか本書のテーマとは離れているが、確かにこれはブッシュ政権の特質の一端を示したものであろう。
 ただ、著者が記者時代、「コロンビアが空中分解した」というCNN報道をもとに事故速報を本社に送る際、コロンビア号の飛行が何回目だったかを自分で確認せず、CNNが伝えた28回目という数字をそのまま記事に引用した、という記述がある(p3)。速報性を優先したのだろうし、報道の世界ではよくあることなのだろうが(「地元メディアが伝えた」など)、日本の報道がいかに自前の情報源(特に速報段階におけるもの)を持っていないか、如実に示されたエピソードである。
 本書はアメリカに限らず、日本の宇宙計画にも言及している。そのなかでJAXAの的川泰宣氏が、「地球を守れなかった人間が、火星に行っても火星は必ずだめになる」「我々が当面、頑張らなければならないのは、自然環境だけでなく、政治体制も含めて地球を住みやすい場所にすることだ」と述べているが(p196)、まさに至言ではないだろうか。
戦略がないのが戦略か? ところでミサイル防衛は「宇宙戦略」なのかい? ★★★☆☆
JFKが大統領就任後間もなくブチ上げたアポロ計画。もちろん
冷戦真っ只中の当時とアメリカが唯一の超大国になった今を
単純比較はできないけれど、国家予算の規模の違いを比べれば
いまのNASAが鼻くそ程度にしか思えなくなってくる。

本書が述べる「アメリカの宇宙戦略」はまるで戦略がないのが
戦略、ってのが今のUSAと思えてくる。

必然的にミサイル防衛のはなしにフォーカスせざるをえない
のだけれど、ミサイル防衛は確かに宇宙空間を使うが技術としては
あくまで内向き、これと火星探査は一緒に議論はできないな〜と
思うのだけど如何でしょう?
外交や国家の威信がかかる問題 ★★★★★
前半はタイトル通りの「宇宙戦略」、後半は「迎撃ミサイル」。まあ、どちらも宇宙空間を飛ぶのだけれど。
ただいずれも外交や国家の威信がかかる問題。1970年代は月まで行っていた人類だが、ここ30年くらいは地球の表面から600km、東京-岡山くらいの高さで実験しているのは、「月まで行くこと」より価値があるからだろう。
ジャーナリストらしい文体で、それらの事情をうまく解説してくれている。
またスペースシャトルの問題点もわかりやすかった。