改めて読み直しています
★★★★★
もう随分前に上下2巻の文庫本で読んだ話しですが、イギリス版のペーパーバック(叙情的な水彩画風の表紙がシンプルなデザインの米国版よりも好き)を買い直して読んでいます。無駄のない簡潔な文体で、謎を秘めた骨太なプロットを組み上げてゆく作者の手法は現代版ウエスタンな物語と相まって毎回読書の楽しみを満喫させてくれます。元憲兵で流れ者のガンマンのようなリーチャーのキャラクターは日本で言えば木枯らし紋次郎とかの無宿者と相通ずるものがあり、関係がないのにいつの間にか事件に巻き込まれてしまい、嫌々ながらもそれを解決させられてしまうという毎回のパターンもお約束で、安心して読めるのもその特徴です。さて、シリーズ2作目の本作、FBI特別捜査官のホリー・ジョンソンがなぜかリーチャー共々、シカゴの街頭から、いきなり謎の男達に誘拐されるところから始まります。ホリーはサッカーの試合で脚を怪我しており松葉杖をついた姿で登場します。彼女はイェール大で会計学を学び、ハーバードで修士号、その後3年間ウオール街で働いた後、並み居る競争相手を退けて優秀な成績でFBIに入ったばかりの新人捜査官で、その彼女が何故誘拐されたのかがこの作品の鍵になるわけです。後半、謎が解けてリーチャーが反撃を開始するやいなや、ダイナミックなアクションが次々と繰り広げられ・・・と良質なアクション映画を観ているような気分でページをめくる。いやあリー・チャイルドってほんとに巧い作家ですね。