元MPの探偵小説
★★★☆☆
MPで15年間の経験を持つ39才の知能明晰、体力抜群のJack ReacherがMPの経験と、ある時はコネを使いながら事件を解決するシリーズ3作目です。
念のために、Killing Floor,Die Trying,Tripwire,Running Blindの順番です。
人員整理のため軍隊を離れ、2年間の放浪生活の末に、フロリダのキーウエストに流れ着き、金も使い果たしたので、穴掘りの仕事でその日暮らしをするReacherの元に、ニューヨークの探偵が訪ねてくる。関わりになることを嫌ったReacherは人違いだと行って避けるが、その夜に用心棒の副業をしているストリップバーにやくざ風の二人組が訪ねてくる。その二人を追い返したものの、二人の素性を気にしてうろつくReacherは、昼間の探偵の死体を発見する。探偵の名前だけを頼りに、ニューヨークに飛んだReacherを待ち受けているのは、驚きの事実や、次から次への事件だった。
事件の展開や結末は結構面白いが、設定に多少無理があるのと、400ページが長すぎると感じました。描写がやたらと長ったらしく、1,2ページ読み飛ばしても全く問題ない部分がたくさんありました。今まで読んだ4冊の中では、一番うんざりでした。200ページにまとめてあったら、多分とても面白く感じたと思います。
なにも持たないヒーロー
★★★★☆
~シリーズの3作目はベトナム戦争のMIA兵士を捜す話だが、主人公リーチャーは歯ブラシ一本の他は鞄も武器も車も(免許証すら)持たずに、どこへでも出かけて行き、必要なものはその場で調達するという現代の物質文明とは正反対の生き方をするヒーローである。元憲兵で大男の彼が行方不明の息子の消息を探す貧しい老夫婦の弱みにつけ込んで詐欺を働くミリタリー~~・マニアの男たちの店に乗り込んで行き、あっという間にその場を制圧してだました金を取り戻すついでに銃と車を巻き上げる場面は映画のターミネーターを彷彿とさせる位に小気味良い。彼は成り行きから、亡くなった恩師のガーバー将軍の娘で幼なじみのジョディの護衛をするのだが、弁護士の彼女から遺産として将軍の家を譲られたことを知っても全く嬉しく感じ~~ない。それどころかむしろ負担に思う。次の4作目でその負担感はさらに強くなるが、なんでも金で計ろうとする現代社会においてこんなに何も持たない、持ちたがらない、それでいて充実した生き方をするヒーローは実に珍しい。~