本書を読み、芸術家と芸術家との奇妙な時の交わりを知りることができました。
ロダンとカミーユ、モネとブーダン、モローとシャセリオー・・・もちろんそのほか数多くの人、場所、変化が反映されて創られた彼らの作品。
もしかしたら偉大な作品は、その時代、その瞬間でないと生み出されなかったのかも知れません。
読んでも疲れない文字の大きさです。逆にいえば、読みやすい大きさ、文字数にしているため、この道に詳しい人には物足りないかと思います。
適度な写真数で、モノクロよりもカラー写真が多いため飽きません。しかし、他のレビュアーの方も指摘されているように荒い画像がいくつかあり、それがかなり気になります。
巻末に「写真は一部を除き、ハイビジョン画像を使用しています」と記載されていたので、この理由からだと思われます。
しかし全体的には丁寧な作りで、中学生くらいから高齢の方まで楽しめるのではないでしょうか。
理想化されがちな”巨匠”達ですが、彼らを取り巻く人間関係や当時の世相を知った上で作品を見ると、それらに対する理解も深まって「あ~そういうことなのね」と愛着がわきますよね。この本はそういった面から見ても、ありきたりな解説に終わらず合格ではないでしょうか。
また、ロダンを語るときにカミーユ・クローデルを欠かすことは出来ませんが、二人の関係にふれるだけでなく、彼女の作品も紹介することによって、二人が互いに与え合った影響や作品がもつ共通性を理屈抜きで読者が感じられるのがいいと思います。
コンパクトな大きさ、丁寧な解説、作品の写真多用、とくに彫刻類は角度を変えたものやズームアップした写真を載せている点が私は気に入りましたが、ピントが甘い写真がいくつか見られたのがとても残念なのでその分引いて☆四つです。