純粋にわらいたいときに。でも案外深いモチーフが込められている。
★★★★★
メキシコにはLucha Libreというプロレスがある。メキシコではポピュラーな格闘技で、とある教会の食事係で修道士イグナシオ(Ignacio・通称Nacho)はLucha Libreが大好き。こっそり覆面レスラーになり、教会の孤児たちにおいしいもの食べさせるというストーリー。 極端な描写があるとはいえ、メキシコにおける教会のありかたや考え方、日常がわかりやすく描かれている。
主役ジャック・ブラックがとにかく魅せてくれる。ギャグセンス、ブラックジョークぶりとユーモアセンスも抜群。ナチョが惚れる修道女はメキシコのテレビ小説やドラマでよく見る女優でペネロペ・クルスよりかわいくて美しい(あくまで主観)。脇役たちの濃いキャラにもハマれる。わたしは格闘技が苦手だが、この映画ではそれが題材にもかかわらず気にならない。唯一残念な点は、会話のほとんどが英語という不自然さ。
ストーリーは単純なので、純粋に笑いたいときにお勧めできる。一方でメキシコの文化や現実に興味がある場合に、それなりに観て学ぶものが結構あると思う。また、コロニアル都市に関心のある人や、本作の舞台となっているメキシコ南部の街、オアハカ好きは必見。ラストシーンはモンテ・アルバンという、オアハカ郊外にあるアステカの遺跡のピラミッドからの景観でこれもまた美しい。